岸井ゆきの×宮沢氷魚で凸凹夫婦のリアルを描く「佐藤さんと佐藤さん」今秋公開 第49回香港国際映画祭への出品も決定
2025年3月17日 17:00

岸井ゆきのと宮沢氷魚が、「ミセス・ノイズィ」(20)の天野千尋監督の最新作「佐藤さんと佐藤さん」に主演することがわかった。2025年秋に公開されることが決定し、4月開催の第49回香港国際映画祭Fantastic Beats部門への出品も発表された。
天野監督は、大学卒業後に会社員を経験後、09年に映画制作を開始。短編「さよならマフラー」に続く中編「費ヲナゲロ」は、ぴあフィルムフェスティバル(PFF)に入選。オリジナル長編デビュー作「ミセス・ノイズィ」は、NYジャパンカッツ観客賞、日本映画批評家大賞脚本賞を受賞した。
今作では“夫婦”をテーマに、“佐藤さん”同士で結婚した凸凹夫婦が人生を共にした15年間を描く。結婚しても離婚しても苗字は変わらない。でも夫婦は常に変化していくもの。その変化にどう順応していくのか、していけないのか。家事育児、日々のこと、そして未来のこと。夫と妻はなぜすれ違うのか? そんな行き違いを真正面から描く。天野監督は、「はっこう」(06)でPFF2006グランプリやゆうばり国際ファンタスティック映画祭審査員特別賞などを受賞した熊谷まどかとともにオリジナル脚本も執筆した。

佐藤サチ(22)は、ダンス好きの活発なアウトドア派。佐藤タモツ(23)は、正義感の強い真面目なインドア派 。2人は正反対な性格だがなぜか気が合い、程なくして付き合い同棲を始める。そして5年後。弁護士を夢見るタモツは、司法試験を受けるが不合格が続く。会社員として働いていたサチは、 一人孤独に頑張るタモツを助けようと、一緒に勉強を始める。数年経ってもタモツは相変わらず不合格だった一方で、サチが司法試験に合格。そんな中、サチの妊娠が発覚し、2人は結婚することになる。

産後すぐに、弁護士として働き出したサチに対し、 タモツは塾講師のアルバイトをしながら家で息子の世話をし、その片手間に司法試験の勉強をする。そんな中、忙しいサチが息子の支度を忘れたり、家でのだらしない姿にタモツはイライラが募る。 育児に対する考え方も全く違う2人は対立し、次第に絶妙に保たれていたはずのバランスが崩れ始める。
サチ役の岸井は、「どうして分かり合いたい人とこそすれ違い、分かち合いたいことも、ほんとは楽しいはずの会話も、余計なひと言や不要な思いやりによって手のひらからすり抜けていくのだろう」と2人のもどかしい関係に想いを馳せ、「佐藤さんと佐藤さんの激しくて楽しくて切なくて嬉しい数年間の記録が、どこかであなたの人生と重なりますように」とメッセージを寄せた。

タモツ役の宮沢は、初共演した岸井について「とてもチャーミングな方で、撮影初日からお互い心を開いて、タモツとサチをしっかりと演じられたと思います」と語り、「夫婦であっても、苗字が同じでも、やはり他人同士。そんな二人の歩む人生をぜひご覧頂ければと思います」と呼びかけた。
天野監督は、岸井について「ひと言でいうなら『芯』の人です。芯がある人、という表現ではもの足りない、芯そのものという感じ」と語り、「ひとつも嘘のない、誠実でまっすぐな芝居を見せてくれました」と感謝。タモツ役の宮沢についても、「とにかく慈しみ溢れる人で、佐藤保という人物に愛情を注ぎ、大事に大事に育ててくれたと感じています。その温度は今もなお画面からも溢れてきて、私の心を温めてくれます」と賛辞を送った。
天野監督、岸井、宮沢のコメント全文は以下の通り。
「他者」をどう理解するか、どう折り合いをつけていくかを、私たちはずっと考え続けなければならないと思っています。
私には夫婦の“普通”が分からないけど、家族というのはあまりにも普遍的で、それぞれがあまりにも特別なのだと思う。
佐藤さんと佐藤さんの激しくて楽しくて切なくて嬉しい数年間の記録が、どこかであなたの人生と重なりますように。
そして、見逃しそうな幸せをどうか見逃しませんように!
岸井さんとは初めての共演でしたがとてもチャーミングな方で、撮影初日からお互い心を開いて、タモツとサチをしっかりと演じられたと思います。
天野さんはとても柔軟な方で、スタッフや役者と意見を交換しながら撮影を進められたので、共に作り上げた感覚がとても強いです。
夫婦であっても、苗字が同じでも、やはり他人同士。そんな二人の歩む人生をぜひご覧頂ければと思います。
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