【梶芽衣子がサプライズ祝福!】第97回アカデミー賞5冠「ANORA アノーラ」のショーン・ベイカー監督が緊急来日
2025年3月8日 18:27

第97回アカデミー賞で作品賞や監督賞、主演女優賞など5部門を受賞した「ANORA アノーラ」が日本で劇場公開されているなか、監督を務めたショーン・ベイカーと、プロデューサーで私生活のパートナーでもあるサマンサ・クァンが緊急来日。3月8日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた舞台挨拶に登壇し、受賞の喜びを語った。ベイカー監督のプロモーション来日は、3度目。オスカー受賞後、初めて公の場として、熱心なファンが多い日本の地を選んだ。

ニューヨークを舞台に、若きストリップダンサーのアノーラが、自らの幸せを勝ち取ろうと全力で奮闘する等身大の生きざまを描き、身分違いの恋という古典的なシンデレラストーリーを、現代風にリアルに映し出す本作。3月2日(現地時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われた第97回アカデミー賞授賞式で、5冠に輝き、ベイカー監督はそのうち、作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞と4部門で受賞を果たした。一作品で、個人が4つのオスカーを手にするのは、アカデミー賞の歴史において初めての快挙だ。

大きな祝福の拍手を受けながら、ベイカー監督は「本当は4つ全部を持ってきたかったけど、とても重いからね」と、監督賞のトロフィーを掲げた。受賞式当日については、「仲間のみんなとハグし合ったし、うれし泣きもしました」と述懐。クァンも「夢にも思わなかった。信じられない出来事が起きました」と喜びを噛みしめた。
ベイカー監督が初めて来日したのは、iPhoneですべて撮影した「タンジェリン」公開時の2017年1月。その際、日本の映画ファンの熱意に触れたといい、18年5月には「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」を引っさげ再来日した。続く「レッド・ロケット」公開の23年4月には、来日こそ実現しなかったが、オンライン舞台挨拶を行い、日本のファンたちと積極的にコミュニケーションを図ってきた。「長年、応援してくれている日本の皆さんに、オスカー受賞を直接報告し、お祝いできることは、私にとって非常に意義深いこと」だと感謝を伝えた。

本作が大きな反響と高い評価を得た理由について、ベイカー監督は「正直、まだ自分たちでもわかりきっておらず、分析している最中なんだ」と明かし、「一種のおとぎ話ではあると思うけど、夢を叶えたいという願いは誰しも持っているもの。だからこそ、夢のために戦うアノーラに共感できるんだと思う」と語った。また、クァンは「誰もが可能性を信じたいという気持ちはあるはず。だからこそ、夢を追いかけるアノーラに、たちまち夢中になったのでは」と話していた。

主人公のアノーラを演じたマイキー・マディソンは見事、主演女優賞を初受賞。残念ながら、マディソンの来日は実現しなかったが、「彼女は半年前、家族と観光で日本に来たそうだよ。だから、おすすめのレストランやバーを教えてもらったんだ」(ベイカー監督)、「実は、このステージに立つ直前まで、マイキーと連絡を取っていたの。日本に来ている私たちのことを、すごくうらやましがっていたし、日本の皆さんに『愛している』と伝えてほしいと言われました」(クァン)と、マディソンの日本愛が伝えられた。

また、マディソンをキャスティングした理由を、ベイカー監督は「どんなときも考えるのは、その役にふさわしいか。そして、その演技を大スクリーンで見たいかということ。僕らは大スクリーンで楽しんでもらうために、映画を作っているからね。彼女は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』『スクリーム』に出演していて、なぜ彼女の主演映画がないんだろうと思っていた。一緒にキャスティングをしているクァンとも『もっと彼女の演技を見たいよね』と話していた」と説明した。

この日の舞台挨拶には、俳優の梶芽衣子がサプライズ登壇し、ベイカー監督とクァンを祝福。日本映画に造詣が深いベイカー監督は、役作りの参考として、梶の代表作である「女囚701号 さそり」(72)をマディソンに渡したというエピソードがあり、その縁で、梶本人の登壇が実現した。憧れの存在が目の前に現れ、ベイカー監督は「まさに“スターストラック”。喜びと興奮が抑えられない」と感激しきりだった。
梶は「本当に素敵な映画。私はアナログ世代ですけど(笑)、令和の恋愛ドラマは、こういうものなんだなと」と作品を絶賛。また、「私事ですけど」と前置きし、「実は今日3月8日は、60年前に私が日活映画でデビューし、初めて撮影をした日なんです。すごくない、この偶然? 今回、お話をうかがって鳥肌が立ちました」と告白。「おふたりのお祝いですけど、私にとっても一生忘れられない、最高のプレゼントになりました」と大喜びだった。

そんな梶の言葉に、ベイカー監督は「そんな大切な日を、一緒にお祝いできるなんて」とすっかりファン目線。影響を受けたのは、「梶さん演じる主人公(囚人番号701号の松島ナミ)が、力強く家父長制度と戦う姿」だといい、「作品のテイストはまったく違いますが、マイキーも梶さんの演技を研究し、自分の中に取り込んでくれた。確実にDNAが受け継がれている」。梶もまた、「彼女、最高でしたね。体当たりの演技は、見ていて気持ちがいい」と、マディソンを絶賛していた。

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