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映画45周年でも進化し続ける「映画ドラえもん」の秘密【コラム/細野真宏の試写室日記】

2025年3月7日 08:00

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「映画ドラえもん のび太の絵世界物語」
「映画ドラえもん のび太の絵世界物語」
(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2025

映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。

また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。

更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)


今週末2025年3月7日(金)から「映画ドラえもん のび太の絵世界物語」が公開されます。

この作品は「映画ドラえもんの44作目」で、今年は「映画ドラえもんのシリーズ45周年」にあたります。

「映画ドラえもん」は1980年から始まり、新型コロナウイルスの影響で2021年は断念せざるを得ませんでしたが、その例外だけで毎年公開し続けているのです。もはや毎年の公開が無いと不自然に思ってしまうほど“定番化”しています。

「映画ドラえもん」の世界では登場人物は年をとりません。この先55年後にも同様に公開が続き「映画ドラえもんシリーズ100周年」といった領域まで自然に到達していきそうだと感じています。

ただ、この「映画ドラえもん」は惰性的に続いているわけではなく、進化し続けている視点を忘れてはいけません。

まさに、その進化を体感できるのが「映画ドラえもん のび太の絵世界物語」と言えるでしょう。

画像2(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2025

本作は「絵世界物語」となっているように「絵画」の世界に入り込む物語です。

「アニメーション」も「絵画」の世界も、同じ「絵」なので、アニメーションで「絵画」の世界に入り込むのはチャレンジングな試みです。

その効果を最大限に活かす形で、主題歌が流れる冒頭のオープニング映像は過去最高の出来でした!

画像3(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2025

また、本作のメインゲスト「クレア」は、とても愛嬌があり、活発で魅力的なキャラクターで作品にテンポの良さをもたらしています。

そして、後半の戦闘シーンは、どんな映画でも通用するようなキレのあるカットの数々で、これを担当したアニメーターの有能さには今後に大きな期待を持てました。

このように今年は「作品のクオリティーの面でも記念すべき映画」で、制作サイドの熱量と才能を感じるほどの進化を遂げた作品になっているのです!

本作では、普段は脚光を浴びない「のび太のパパ」が少し良い役だったり、普段は大人しい「しずか」のカッコ良いアクションシーンが登場するなど、映画ならではの意外性も上手く引き出しています。これらは普段のテレビアニメを作る際に生まれるような発想で、本作が監督も脚本も普段のテレビアニメを手掛けているスタッフ(監督:寺本幸代、脚本:伊藤公志)によって作られた点に「映画ドラえもん」のポテンシャルの高さを感じます。

画像4(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2025
画像5(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2025

さて、私は昨年の43作目「映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)」については脚本を中心に難点を感じていて、興行収入が40億円台を下回るかもしれないと危惧していました。ところが、42作目「映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)」からほぼ落ちずに興行収入43.1億円を記録し、落ちにくい状況の“底堅さ”を見せたのです。

ひょっとして、そろそろ「映画ドラえもん」は2018年「映画ドラえもん のび太の宝島」、2019年「映画ドラえもん のび太の月面探査記」に記録した興収50億円台に再び向かい、歴代最高の53.7億円(「のび太の宝島」)の更新もあり得るのかもしれません。

このところ「366日」や「ファーストキス 1ST KISS」「アンダーニンジャ」など「口コミ」が効いて好調を維持する作品が増えていて、本作は作品の完成度を考えると歴代最高興収を記録してもおかしくありません。「45周年」にふさわしい記録を残せるのか大いに注目したいと思います!

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