「Broken Rage」世界のキタノ、映画監督を続ける“原動力”とは? 監督デビューから型破りな35年の軌跡
2025年2月10日 12:00

北野武が監督・脚本・主演を務めたAmazon Original映画「Broken Rage」が、2月14日からPrime Videoで独占配信される。本記事では、北野監督の監督デビューから35年の軌跡を振り返る。
名実ともに世界的な映画監督として知られる北野家督だが、監督デビュー当初はコメディアン兼映画監督という肩書と、型破りな作風から反発の声も少なくなかった。「誰も試したことのない作品への挑戦」を映画作りの“原動力”とする北野監督は、映画祭を席巻し世界的な評価を得た今日でも自身のスタイルを貫き通し、型破りな作品を生み出し続けている。

「ビートたけし」としてお笑いの頂点に君臨し数々の大ヒット番組を生んだコメディアンであり、映画監督としても国際的に名声を得ている北野監督だが、その道のりは決して平坦ではなく逆境と挑戦続きだった。
記念すべき1作目「その男、凶暴につき」(89)では、当初メガホンを握る予定だった深作欣二監督が降板したことにより、主演と監督を兼任するという思わぬ形で監督デビューを果たした。
当時、コメディアンとして第一線で活躍しているタレントが映画監督を務めるのは、類を見ない“挑戦”でもあった。その後も北野作品の代名詞ともいえる“バイオレンスな表現”に世間の反応は冷たく、北野監督自身も「俺はスタンドアップコメディアンとしてスタートした後に映画監督になったけど、当時はそういうキャリアは認めてもらえなかった。日本では最初から映画監督を目指している人しか良い映画を作れないとする風潮があった」と当時の苦い思いを明かしている。

しかし、「HANA-BI」(97)が第54回ベネチア国際映画祭で日本作品として40年ぶりとなる金獅子賞を受賞したことで、北野監督の名は世界的に認知されるようになった。北野監督は「日本で映画を撮り出してからはずっと悪口言われていたけど、ベネチアで賞をもらった時の日本のマスコミの手のひらを返したような褒め言葉は一番気持ちよかったな。その後は火が点いて、さらにやる気になった」と振り語る。

世界から高い評価を受けながらも北野監督は、「次から次に誰もやっていない新しいことを考えて、挑戦していたけどことごとく失敗している。失敗も一回りすれば、次は一回目より良いものになっていると希望を持ってまたやるけど、本当何やってもダメだった。基本的にはうまくいった試しがない」と謙遜。デビュー当初からのスタンスを未だに変えずに挑戦を続けている。

最新作「Broken Rage」は、インターネットが普及した今の時代に合わせ、あえて66分という短い尺で製作。前半では骨太のクライムアクションを描き、後半では前半と同じ物語をセルフパロディという手法を使ってコメディタッチで描くという斬新な構成で、映画の常識を“ぶち壊す”べく作り上げた実験的フィルムになっている。
主人公の“凄腕”殺し屋・ねずみ(演:ビートたけし)は、クライアントからの殺しの依頼を淡々とこなす日々を送っていた。しかし、警察に自身の犯行が暴かれ遂に逮捕されてしまったねずみは、釈放を条件に刑事 井上(演:浅野忠信)と福田(演:大森南朋)と手を組み、覆面捜査官として裏社会に潜入する。
既存の映画の常識に捕らわれない型破りな演出と、予測不能なストーリー展開で構成された本作は、第81回ベネチア国際映画祭(24)に日本の配信映画として初めて正式出品され、高い評価を獲得した。
Amazon Original映画「Broken Rage」は2月14日より世界独占配信開始。
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