孤高で自由、自身の力で人生を切り開く女性を描く「ブラックバード、ブラックベリー、私は私。」監督インタビュー
2025年1月3日 17:00
ジョージアの新進女性作家の大ヒット小説を原作に、経済的に自立し結婚願望のなかった48歳の女性の初めての恋、孤独ながらも自由を謳歌し、自分自身の人生を正直に生きる日々を描き、カンヌ国際映画祭や大阪アジアン映画祭での上映が話題となった、「ブラックバード、ブラックベリー、私は私。」が公開となった。メガホンをとった新鋭エレネ・ナベリアニ監督がオンラインインタビューに応じた。
私の映画を観た原作者は、最初に「私の知っているキャラクターとは違う」と言いました。ですから、原作に忠実であるかどうかという問いの答えとしたら、ノーでしょう。私にとって一番重要だったのは、私が小説を読んで受けたインスピレーションを映像にすることでした。原作どおりの映画にすることではなかったのです。
この物語は、エテルというキャラクターが、どのように自分の思いに忠実に人生を進めていくかが重要です。パワフルな女性ですが、原作そのものではありません。小説は非常に重く、情報量がたくさんあるので、映画の方が、観客の気持ちが軽くなったり、希望を感じられる物語になっていると思います。原作と映画は別の作品になったと思います。
エカは、主に舞台で活躍していた俳優です。ですから、ジョージア国民のだれもが知っている、という俳優ではありませんが、近年、映画やテレビでも活躍の幅を広げています。彼女と私の出会いは、私の過去作「ウェットスタンド」で、小さな役を演じてもらったことから始まります。彼女と撮影をして、何かを依頼すると、私のリクエストにプラスアルファを加え、よりよい演技で応じてくれるのです。ですから、彼女との仕事は、エンドレスに良いものができるという確信がありました。
そんな風に私は素晴らしい俳優だと思っていたので、原作を読んだときに彼女を思い浮かべ、ある意味、エカをイメージして脚本を書いたとも言える感覚でした。ですから、最初から彼女をキャスティングしたかったですし、彼女のおかげで私が思った以上の作品になったと思います。
1990年代以前のジョージアの映画産業はソ連の影響が大きいものでした。しかし、2000年代に入って状況が変化し、ジョージアの中でもインディペンデントなアート作品も意欲的に作られるようになりました。そうはいっても、現在の政府はとても危険な状況で、世界の時代の流れに逆行しているような感じ、映画にとっても良くなった時代を阻まれている感じがします。もちろん、勇気や信念をもって、体制に抗う女性監督もいますし、作品を撮りたくても撮れない作家もいます。ですから、実のところ、現在のジョージアは映画人にとってそれほど良い状況とは言えないのです。
カウリスマキ監督作品と比較されることはありますが、彼の作品を念頭に置いて映画を作ることはありません。もちろん彼の映画は観ていますし、影響を受けていないはずはないと思います。私は小さい頃から映画やアート、芸術が好きで多くのものに触れてきました。たくさんの映画を観て、自分の中に溜まったものを作品として出しているという感覚です。
好きな監督はライナー・ベルナー・ファスビンダー、彼のメロドラマが特に好きです。また、実験的な作品を作るバーバラ・ハマー、デレク・ジャーマン、ケネス・アンガー監督も好きです。しかし模倣しているわけではなく、私の作品は撮影監督とプロダクション・デザイナー、衣装スタッフと打合せをして作り上げていきます。
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