【マラケシュ国際映画祭】ショーン・ペンに功労賞 キャリアを振り返り「芸術的なメリットのバロメーターではなくなってきている」とアカデミー賞批判も展開
2024年12月6日 14:00

11月29日からモロッコのマラケシュで開催された第21回マラケシュ国際映画祭で、ショーン・ペンに功労賞がおくられ、彼のレトロスペクティブが催された。映画祭ディレクターによれば、長年ペンが参加できる機会を待ち望み、今年ようやく念願が叶ったのだとか。ふだんはマスコミ嫌いのペンも、授賞式への参加とともにプレス向けの記者会見と、さらには一般観客と直接触れあう機会であるトークを行った。
授賞式のスピーチで、自身の監督作「インディアン・ランナー」に出演した旧友のバレリア・ゴリノからトロフィーを渡された彼はスピーチで、「いま世界中でダイバーシティが謳われているものの、実際に意見や行動のダイバーシティ、言語のダイバーシティといったものはあまり認められていません。わたしは誰もが、たとえポリティカリー・インコレクトであってもダイバーシティを認め、そしてさまざまな物語を語っていくことを応援したいと思います。この賞を頂くことはとても光栄ですし、ここに来られてとても幸せです」と挨拶した。
会見では、審査員メンバーのひとりであるアリ・アッバシ監督の「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」を称賛しながら、「アカデミー賞は文化における異なる表現に対して驚くほど及び腰。実際イマジネーションを制限し、異なる文化的な表現を制限している。テレビショー的なお祭りであり、芸術的なメリットのバロメーターではなくなってきている」と、アカデミー賞批判を展開した。

また地元の学生たちも参加し満員御礼となったトークでは、トレードマークのタバコを片手に、司会者の質問に沿っておよそ1時間半にわたりキャリアを振り返った。映画業界に入る前、自分は単純にストーリーテラーになりたいと思ったこと、ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ダスティン・ホフマン、ジーン・ハックマンといった先輩を見て、彼らの役への没頭ぶりに感銘を受け興奮させられたこと。またそれぞれアカデミー賞主演男優賞に輝いた「ミスティック・リバー」と「ミルク」を振り返り、「アカデミー賞をもらっていいことは、ギャラが跳ね上がること(笑)。その点ではもう俳優として心配をしなくてよくなった」と会場の笑いを誘い、「ミスティック・リバー」のクリント・イーストウッド監督について、「とても忍耐力のある監督で、現場では誰が監督かわからないほど静かに観察している。かつてジョン・ヒューストンは、映画の出来の95%はキャスティングにある、と答えたが、イーストウッドもそう思っているタイプだと思う」とコメント。

一方、48歳で暗殺された、ゲイの活動家でサンフランシスコ市議であったハーベイ・ミルクに扮したガス・バン・サント監督の「ミルク」の役作りにおいて、「彼に関する資料はたくさんあり、研究しているうちに彼のことが大好きになった。素晴らしい価値のある活動をした人物。もし歴史上の誰に会いたかったかと言われたらハーベイ・ミルクと答える。彼のような人材を早くに失ったことは我々社会にとって大きな損失です」と追悼した。さらに2023年に監督したウォロディミル・ゼレンスキーのドキュメンタリー、「Superpower」の経験を振り返り、「ゼレンスキー大統領について尊敬する点は、勇気と道徳観念に満ち、民主主義の擁護者であること」と形容した。
マラケシュで、彼がこれほどサービス精神に溢れていた要因に、34歳年下の新恋人を伴っていたからと囁く声も聞かれたものの、いずれにしろこれほどまとまってペンの発言を聞くことができる機会は滅多にないゆえに、貴重な機会となった。(佐藤久理子)
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