映画.comでできることを探す
作品を探す
映画館・スケジュールを探す
最新のニュースを見る
ランキングを見る
映画の知識を深める
映画レビューを見る
プレゼントに応募する
最新のアニメ情報をチェック
その他情報をチェック

フォローして最新情報を受け取ろう

検索

入江悠監督、「あんのこと」主人公とは「死ぬまで一緒に生きていく」【第37回東京国際映画祭】

2024年10月31日 17:45

リンクをコピーしました。
ティーチインに臨んだ入江悠監督
ティーチインに臨んだ入江悠監督

第37回東京国際映画祭のNippon Cinema Now部門で特集上映される入江悠監督の1本、「あんのこと」が10月31日、丸の内ピカデリーで上映された。入江監督は上映後のティーチインに登壇し、本作に込めた思いや撮影エピソードなどを熱く語った。

2020年の日本で現実に起きた事件をモチーフにした本作。日常で親に暴力を受け、薬物中毒だった主人公・杏を、ドラマ「不適切にもほどがある!」や映画「ナミビアの砂漠」の河合優実、杏を救おうとする型破りな刑事・多々羅を佐藤二朗、更生施設を取材するジャーナリスト・桐野を稲垣吾郎が演じる。

脚本の執筆中に、河合が主演を務めることが決定し、ほぼあて書きで進めていったと言う入江監督。河合については「彼女が俳優デビューするかしないかの時、ワークショップで出会って、この人は素晴らしい俳優になるだろうなと思いました」と称賛する。

「年齢もモデルになった方と同じくらいですし、こういうふうに演じるというアプローチではなく、河合さんなら1回フラットというか透明なままで、アプローチをしてくれるんじゃないかなと思い、新聞記者さんや、薬物依存の更生グループの方などの話を、一緒に聞きにいったりしました」

さらに河合について「撮影の途中で、河合さんが『なんか、杏ちゃんと手を繋いで一緒にいるような気持ちがする』と言った時、本当にこの人にあん役をお願いして良かったなと思いました」としみじみ語る。

ティーチインでは、悲しくも壮絶なラストについての質問が入る。

入江監督は「新聞記事に書かれた彼女の最後がそうでした。当時、自分もコロナ禍の閉塞感や行き詰まりを感じ、なぜ彼女が自死という道を選んだのかをもっと知りたいと思い、脚本を書きました。だからフィクションとして映画を撮るとしても、そこを変えようとは思わなかったです。『救いはないのか』とよく指摘されますが、僕が新聞記事を読んだ時の、『何かできなかったのか』とか、もしかして東京ですれ違った女性を見捨ててしまっているんじゃないかという思いもありまして。だから、そこを変えてしまうと、その気持ちに嘘をつくことになるので、フィクションとして足すのをやめたいと思いました」と語った。

また、入江監督作において、「あんのこと」はどういう位置づけの作品になるかという質問も。

入江監督は「もうちょっと時間が立たないと客観視できる気はしないんですが、作り終わったあとに、この主人公と僕は死ぬまで一緒に生きていくんだなと思ったのは初めてのことでした。『サイタマノラッパー』の主人公も僕の投影だったりするけれど、ある種どこかで人生が分かれ、どこかにいるなって感じなんですけど、杏っていう子に関しては、映画を作ったからには責任を持って彼女と一緒に生きていかなきゃいけないと思ったんです。そういう作品は初めてで、もしかしたら今後、そういう人とたくさん出会っていくような映画作りをしろと言われているのかなとも感じました」と、強い思い入れの深い作品になったようだ。

また、今作においては、これまで培った演出方法を一度やめて、新しい形で監督していったという入江監督。その理由として「結論からいうと、僕が考えていることでは、この作品には到底足りないというか、及ばないなと感じ、なるべく環境だけを作って、河合さんや撮影の浦田(秀穂)さんに感じてもらったことを切り取ってもらおうと思ったからです。今までなら、こういうふうに動いてくださいと、監督然としていたのですが、今回はそれが邪魔になるかなと思いました」と振り返る。

演出手法は作品によっても変えていくとのことで、1月17日に公開予定の時代劇「室町無頼」は、「時代劇活劇なので、大泉洋さんに『二刀流にしましょう』とか、堤真一さんには『ここは馬から降りて戦いましょう』とか、めちゃくちゃ言っています(笑)。でも、『あんのこと』では、何か言わずにじっと我慢して対象を見つめる……、みたいなことを教えてもらった感じがします」と河合らに感謝した。

第37回東京国際映画祭は、11月6日まで開催。

入江悠 の関連作を観る


Amazonで関連商品を見る

関連ニュース

映画.com注目特集をチェック

関連コンテンツをチェック

シネマ映画.comで今すぐ見る

HOW TO HAVE SEX

HOW TO HAVE SEX NEW

ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。

凶悪

凶悪 NEW

死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴いていく過程をつづったベストセラーノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部編)を映画化。取材のため東京拘置所でヤクザの死刑囚・須藤と面会した雑誌ジャーナリストの藤井は、須藤が死刑判決を受けた事件のほかに、3つの殺人に関与しており、そのすべてに「先生」と呼ばれる首謀者がいるという告白を受ける。須藤は「先生」がのうのうと生きていることが許せず、藤井に「先生」の存在を記事にして世に暴くよう依頼。藤井が調査を進めると、やがて恐るべき凶悪事件の真相が明らかになっていく。ジャーナリストとしての使命感と狂気の間で揺れ動く藤井役を山田孝之、死刑囚・須藤をピエール瀧が演じ、「先生」役でリリー・フランキーが初の悪役に挑む。故・若松孝二監督に師事した白石和彌がメガホンをとった。

痴人の愛 リバース

痴人の愛 リバース NEW

奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。

愛のぬくもり

愛のぬくもり NEW

「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。

卍 リバース

卍 リバース NEW

文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。

世宗大王 星を追う者たち

世宗大王 星を追う者たち NEW

ハングルを作り出したことで知られる世宗大王と、彼に仕えた科学者チョン・ヨンシルの身分を超えた熱い絆を描いた韓国の歴史ロマン。「ベルリンファイル」のハン・ソッキュが世宗大王、「悪いやつら」のチェ・ミンシクがチャン・ヨンシルを演じ、2人にとっては「シュリ」以来20年ぶりの共演作となった。朝鮮王朝が明国の影響下にあった時代。第4代王・世宗は、奴婢の身分ながら科学者として才能にあふれたチャン・ヨンシルを武官に任命し、ヨンシルは、豊富な科学知識と高い技術力で水時計や天体観測機器を次々と発明し、庶民の生活に大いに貢献する。また、朝鮮の自立を成し遂げたい世宗は、朝鮮独自の文字であるハングルを作ろうと考えていた。2人は身分の差を超え、特別な絆を結んでいくが、朝鮮の独立を許さない明からの攻撃を恐れた臣下たちは、秘密裏に2人を引き離そうとする。監督は「四月の雪」「ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女」のホ・ジノ。

おすすめ情報

映画ニュースアクセスランキング

映画ニュースアクセスランキングをもっと見る

シネマ映画.comで今すぐ見る

他配信中作品を見る