俊英・滝野弘仁監督「くまをまつ」 脚本執筆・撮影は亡き祖父の家で【第37回東京国際映画祭】
2024年10月29日 22:30

第37回東京国際映画祭「Nippon Cinema Now」部門に出品されている「くまをまつ」が10月29日、東京・TOHOシネマズ日比谷で公式上映され、監督・脚本の滝野弘仁が上映後のティーチインに応じた。映画・ドラマの助監督としても活動している滝野監督が、祖父の死をきっかけに、ゆかりのある石川県・小松市滝ケ原町を舞台に製作した作品だ。
夏休みの間、叔母・ややこに預けられる8歳の少年タカシ。脚本家のややこは創作のため、昨年死んだ祖父・隆二郎の古民家に滞在している。都会育ちのタカシにとって、母のいない田舎暮らし、古いクマの伝承、かつての石切り場など、田舎での毎日は新鮮そのもの。やがて、ふたりは隆二郎の日記を通じ、彼の古い記憶に触れることになる。

撮影が行われた家屋は、祖父が2年前に亡くなるまで実際に住んでいた家だといい、滝野監督は「脚本を書いたのもこの家。1カ月半ほど泊まり込んだ」と振り返る。当初より「自分の経験にかなり近い、個人的な話になりそうだと思った」というが、「いざ書き始めると、脚本家が主人公の物語が転がるはずもなく(笑)、何も起こらないことに気づいたので、タカシという子どもを飛び込ませたら、スムーズに話が流れ出した」と語った。
ややこを演じる平野鈴は、滝野監督の短編映画に出演した縁があり、直々にオファー。一方、タカシ役の渋谷いる太は、東京で実施したオーディションで見出すなど、多様な方法でキャスティングが行われた。
また、出演者の大場みなみ、松浦りょうは第37回東京国際映画祭「Nippon Cinema Now」部門に出品された「あるいは、ユートピア」(金允洙監督)にも出演。さらに、もう1人の出演者である中村映里子は、コンペティション部門に選出されている「雨の中の慾情」(片山慎三監督)にも出演するなど、第37回東京国際映画祭では、「くまをまつ」のキャストが出演する別作品が数多く上映されており、滝野監督は「ぜひ、そちらの作品も見てもらえれば」とアピールしていた。

撮影を担当したのは、「ナミビアの砂漠」(山中瑶子監督)の米倉伸。以前から親交があるといい「とても若いカメラマンなんですけど、すごくいい撮影をする方。絵のルックやサイズとか、そういうことだけじゃなく、このシーンで何をどう見せるべきか、一緒に長い時間を考えてくださり、有意義な時間だった」と話していた。
第37回東京国際映画祭は、11月6日まで開催。
関連ニュース






映画.com注目特集をチェック

ファンファーレ!ふたつの音
【本作、良い映画ではないです。最高に良い映画です】“ほっこり系”と油断してた…感情が持ってかれた
提供:松竹

これ観てない人、マジもったいない!!
【夏に観逃したという人へ…】まだ間に合う!むしろ今こそ映画館へ【知れば絶対に観たくなる7の事実】
提供:東宝東和

4歳の息子が誘拐された。
【しかし、誘拐犯が死体で見つかった】警察は息子に疑いを向ける…衝撃の極限ヒューマンサスペンス
提供:東映

なんだこれ!?!? 絶対に観る。
【個人的・下半期で最も観たい映画No.1】“ダメ男”が、強烈変態異常者に追われます…
提供:ワーナー・ブラザース映画

宝島
【超異例の「宝島」現象】こんなにも早く、心の底から“観てほしい”と感じた映画は初めてかもしれない。
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント