「十一人の賊軍」ワールドプレミア! 白石和彌監督「今日は映画にとって一番大切な日」【第37回東京国際映画祭】
2024年10月28日 21:10
「孤狼の血」シリーズのチームが再結集し、白石和彌監督、山田孝之と仲野太賀が主演した映画「十一人の賊軍」のワールドプレミアが10月28日、東京・丸の内ピカデリーで行われた。同作は第37回東京国際映画祭のオープニング上映作品となり、舞台挨拶には山田孝之、鞘師里保、佐久本宝、千原せいじ、一ノ瀬颯、小柳亮太、本山力、野村周平、白石和彌監督が登壇した。
本作は江戸幕府から明治政府へと政権が移りかわる中で起こった戊辰戦争を背景に、11人の罪人たちが藩の命令により決死の任に就く姿を描いた時代劇アクション。仲野太賀とともに主演した山田は、「映画を楽しんでください。いろいろなことが起きて、いろんな人たちに、いろんな視点があるんですが、視点を変えると感じ方も変わってくる作品。時代劇ですが、現代に置き換えても同じことを感じられると思います」と呼びかけた。
そして白石監督も「ワールドプレミアという、映画にとって一番大切な日を、この東京国際映画祭のオープニングという形で、皆さんと迎えられたことを、心より感謝申し上げます」と感慨深い様子で切り出すと、「この映画は東映の脚本家で、『仁義なき戦い』などの笠原和夫さんという、偉大な脚本家が書いたプロットが元になっています。そのプロットを60年の時を経て映画化できたことをうれしく思いますし、その分とても緊張しているんですが、ぜひ最後まで楽しんでいただけたら」と語りかける。
笠原といえば、「日本侠客伝」「仁義なき戦い」シリーズなどで知られる名脚本家。そのプロットを映画化することになった経緯を質問された白石監督。「笠原さんは、いろんな脚本を書かれているので、一概にこれということではないんですが、その中でも、名もなき若者たちが犠牲になっていくということを多く書かれていて。その中でどう生きるか。この作品は侍なんですが、どういう生き方をするか、ということが明確にプロットにも残っていて。それをこの時代に描いて、いろんな人に観てもらいたかった」という思いがあったという。「この作品の脚本の存在は知っていたんですが、なぜか2014年とか、15年とかにKindleでプロットを発見したんですよ。いい時代だなと思ったんですが、それをもとに東映さんにこういうのをやりたいという話をしたら、プロデューサーがやりましょうと言ってくれたのがこの作品のスタートです」と語った。
一方の山田は、自身が演じた役柄について「妻の元に帰りたい。ただそれだけですね」とキッパリ。さらにそこに補足するように「そういう行動が、他の人から見ると自分勝手で、とんでもない裏切り者だとも言えるんですが、彼からするとただ妻の元に帰る。それだけが正義なので、ずっとコソコソしていて。いつか逃げるぞ、という隙をうかがっている感じ。本当に端っこの方で、見事に姿を消していると思います」と説明した。
さらに「僕はお坊さんの役なんですが、この作品の後、ほんまにお坊さんになりました」と語るのは、引導役の千原。今年の5月に天台宗の僧侶になったことを報告したばかりということで、「それは映画とは関係ないところなんですけど。この映画を撮っているときは何も修行をしていないからお経が下手なんです。でも今はお経がめちゃくちゃうまいんです。だからお経の下手な俺が観られるのはこの作品だけです。楽しんでください」と明かし、会場を沸かせた。
そんな豪華キャスト陣が勢ぞろいした舞台挨拶だが、最後は白石監督のコメントで締めくくることに。「映画をつくるうえで、もちろんテーマは何かとか、その奥底にいち作家として、どういう裏テーマを入れるか、ということもあるんですが、この映画は、本当に活劇、エンタテインメントとしてつくったので、まずはそこを心から楽しんでいただけたら。侍最後の時代に、名もなき若者たちの魂の叫びと生きざまを見届けていただけたらうれしいなと思っています」とメッセージを送った。
第37回東京国際映画祭は、11月6日まで開催。
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
十一人の賊軍 NEW
【本音レビュー】嘘があふれる世界で、本作はただリアルを突きつける。偽物はいらない。本物を観ろ。
提供:東映
映画料金が500円になる“裏ワザ” NEW
【仰天】「2000円は高い」という、あなただけに伝授…期間限定の最強キャンペーンに急げ!
提供:KDDI
グラディエーターII 英雄を呼ぶ声 NEW
【人生最高の映画は?】彼らは即答する、「グラディエーター」だと…最新作に「今年ベスト」究極の絶賛
提供:東和ピクチャーズ
ヴェノム ザ・ラストダンス NEW
【最高の最終章だった】まさかの涙腺大決壊…すべての感情がバグり、ラストは涙で視界がぼやける
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
“サイコパス”、最愛の娘とライブへ行く
ライブ会場に300人の警察!! 「シックス・センス」監督が贈る予測不能の極上スリラー!
提供:ワーナー・ブラザース映画
予告編だけでめちゃくちゃ面白そう
見たことも聞いたこともない物語! 私たちの「コレ観たかった」全部入り“新傑作”誕生か!?
提供:ワーナー・ブラザース映画
八犬伝
【90%の観客が「想像超えた面白さ」と回答】「ゴジラ-1.0」監督も心酔した“前代未聞”の渾身作
提供:キノフィルムズ
追加料金ナシで映画館を極上にする方法、こっそり教えます
【利用すると「こんなすごいの!?」と絶句】案件とか関係なしに、シンプルにめちゃ良いのでオススメ
提供:TOHOシネマズ
ジョーカー フォリ・ア・ドゥ
【ネタバレ解説・考察】“賛否両論の衝撃作”を100倍味わう徹底攻略ガイド あのシーンの意味は?
提供:ワーナー・ブラザース映画
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴いていく過程をつづったベストセラーノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部編)を映画化。取材のため東京拘置所でヤクザの死刑囚・須藤と面会した雑誌ジャーナリストの藤井は、須藤が死刑判決を受けた事件のほかに、3つの殺人に関与しており、そのすべてに「先生」と呼ばれる首謀者がいるという告白を受ける。須藤は「先生」がのうのうと生きていることが許せず、藤井に「先生」の存在を記事にして世に暴くよう依頼。藤井が調査を進めると、やがて恐るべき凶悪事件の真相が明らかになっていく。ジャーナリストとしての使命感と狂気の間で揺れ動く藤井役を山田孝之、死刑囚・須藤をピエール瀧が演じ、「先生」役でリリー・フランキーが初の悪役に挑む。故・若松孝二監督に師事した白石和彌がメガホンをとった。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
ハングルを作り出したことで知られる世宗大王と、彼に仕えた科学者チョン・ヨンシルの身分を超えた熱い絆を描いた韓国の歴史ロマン。「ベルリンファイル」のハン・ソッキュが世宗大王、「悪いやつら」のチェ・ミンシクがチャン・ヨンシルを演じ、2人にとっては「シュリ」以来20年ぶりの共演作となった。朝鮮王朝が明国の影響下にあった時代。第4代王・世宗は、奴婢の身分ながら科学者として才能にあふれたチャン・ヨンシルを武官に任命し、ヨンシルは、豊富な科学知識と高い技術力で水時計や天体観測機器を次々と発明し、庶民の生活に大いに貢献する。また、朝鮮の自立を成し遂げたい世宗は、朝鮮独自の文字であるハングルを作ろうと考えていた。2人は身分の差を超え、特別な絆を結んでいくが、朝鮮の独立を許さない明からの攻撃を恐れた臣下たちは、秘密裏に2人を引き離そうとする。監督は「四月の雪」「ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女」のホ・ジノ。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。