原作・筒井康隆、監督・吉田大八 長塚京三12年ぶり主演映画「敵」1月17日公開
2024年9月14日 10:00

筒井康隆の小説を「桐島、部活やめるってよ」「騙し絵の牙」の監督・吉田大八が映画化、12年ぶりの映画主演になる長塚京三が参加した新作映画「敵」が、2025年1月17日公開される。出演キャスト、場面写真、キャスト・スタッフからのコメントが披露された。
渡辺儀助77歳。元大学教授で今はリタイアし、妻に先立たれている彼は、朝起きる時間、食事、衣類、使う文房具一つに至るまでを丹念に扱い、預貯金の残高と生活費があと何年持つかを計算し、自分の寿命を知る。一見自己管理を徹底した生活を送っているように見えるが、時には晩酌を楽しみ、昔の教え子・鷹司靖子に淡い恋愛感情を抱くような、格好の悪い人間らしさもある。だが、そんな穏やかな老後を過ごす儀助の元にある日「敵」が現れる……。
(C)1998 筒井康隆/新潮社 (C)2023 TEKINOMIKATA1974年にフランスで俳優デビューしてから実に50年、名優として日本映画、ドラマ、舞台の歴史に名を刻んできた長塚にとって、2013年公開の「ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を」以来、12年ぶりの主演映画となる。“理想の上司像”の印象も強い長塚が、本作では人生の最期に向かって生きる人間の恐怖と喜び、おかしみを同時に表現する。清楚にして妖艶な魅力をもつ大学の教え子には瀧内公美、亡くなってなお儀助の心を支配する妻役には黒沢あすかが幻想的に登場し、バーで出会い儀助を翻弄する謎めいた大学生には河合優実。そのほか松尾諭、松尾貴史、カトウシンスケ、中島歩らが脇を固める。
原作の筒井康隆は「すべてにわたり映像化不可能と思っていたものを、すべてにわたり映像化を実現していただけた」と本作を絶賛。吉田監督は「自分自身、この先こういう映画は二度とつくれないと確信できるような映画になりました」と自信を見ていせる。1月17日、テアトル新宿ほか全国公開。
何十年も前に小説を読み終えた時から「敵って何?」という問いが頭を離れず、とうとう映画までつくることになりました。筒井先生の作品を血肉として育った自分にとってそれはかつてないほど楽しく苦しい作業の連続でしたが、旅の途中で長塚京三さんをはじめとする素晴らしい俳優たち、頼もしいスタッフたちと出会えてようやく観客の皆さんが待つ目的地が見えてきた気がします。
自分自身、この先こういう映画は二度とつくれないと確信できるような映画になりました。
僕は幸せです。
すべてにわたり映像化不可能と思っていたものを、すべてにわたり映像化を実現していただけた。
登場人物の鷹司靖子、菅井歩美、妻・信子の女性三人がよく描き分けられている。
よくぞモノクロでやってくれた。
タイトルは、原作である筒井康隆先生の小説の表題を戴くと聞きました。吉田監督のシナリオは、概ね原作に準じるものだとも。両者とも大変興味深く読ませて戴いて、なんだろうこの主人公は、ほぼ監督そのままじゃないか、と思えてなりませんでした。ご自分でおやりになればいいのに、とさえ。難はただ一つ、「ちょっとばかり歳が足りないか!」。まだやり直しのきく年齢での「絶望」は、全き絶望とはいえませんからね。
冗談はさて置き、老耄に押しまくられて記憶が混濁し、授けを求めようにも、人も、物たちさえも、いつの間にか掌を反したように敵側に回っていて、恐らくは粗略でもあり、傲慢でもあったろう主人公の嘗てのあしらいに、幾星霜かを経て、なお復讐するかのようだ。
「この逆境、老残零落のシラノ(ド・ベルジュラック)だったらどうするだろう?」などと考えてみたら面白そうである。僕の最後の、いや最後から二番目あたりの映画として受けさせて戴きます。かなりの強行軍は承知ですが、共演者、スタッフの皆さんが、最後まで味方でいてくれることを信じて。「てき」、いいタイトルです。
いつかご一緒させてもらいたいと願っていた吉田大八組。大八さんの現場はとても不思議な空気感で、どの表現が良いのだろうかと試行錯誤しながら撮影を進めていましたが、なんだかほっこりしていてとても居心地が良い現場でした。
そして、長塚京三さんとの共演は言葉では言い尽くせないほど京三さんに魅了され、クランクアップの前日、明日でしばらくはお会いできないのかと思うとお風呂の中で涙が出たほどです。
とても不思議な面白い作品に仕上がっていると思います。わたしも今から「吉田大八ワールド」が楽しみです。
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