核戦争の脅威を描く英国アニメ「風が吹くとき」デビッド・ボウイの主題歌流れる日本版予告編、新場面写真、ジブリ鈴木氏コメント公開
2024年6月19日 10:00
1986年に英国で製作され、翌87年に日本でも劇場公開されたアニメーション映画「風が吹くとき」の日本語吹き替え版が、8月2日からリバイバル上映される。このほど、デビッド・ボウイが歌う主題歌「When The Wind Blows」使用の日本語版予告編と追加場面写真10点、スタジオジブリの鈴木敏夫氏からのコメントが公開された。
本作は「スノーマン」や「さむがりやのサンタ」で知られる作家・イラストレーターのレイモンド・ブリッグズが、マンガのようなコマ割りスタイルで描いた同名の原作「風が吹くとき」(あすなろ書房刊)を、自らも長崎に住む親戚を原爆で亡くした日系アメリカ人のジミー・T・ムラカミ(「スノーマン」)が監督。日本語(吹き替え)版を大島渚監督が担当し、主人公の夫婦ジムとヒルダの声を森繁久彌と加藤治子が務めたことでも大きな話題を呼んだ一作だ。
日本語吹き替え版予告編は、今回のリバイバル上映にあわせて新たに作られたもの。冒頭、元ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズが手がけた楽曲「HILDA's DREAM(ヒルダの夢)」が流れ、牧歌的な田園風景でのジムとヒルダ夫妻の平和な日常を映す。しかし、ラジオからの「わが国に向けて敵のミサイルが発射されました」という知らせに、夫妻はあわてて家の中にしつらえたシェルターの中へ。ボウイによる映画タイトルと同名の主題歌「When The Wind Blows(風が吹くとき)」が流れる中、原爆による惨状が露わとなる本作の象徴的なシーンが連なる構成となっている。
また、本作では原爆の被害をリアルに伝えるため、爆風にさらされたガレキなどを実写で描く演出も多く、そうした実験的な要素も見どころのひとつだ。また、ラストでヒルダがタンポポに息を吹きかけると、綿毛とともに自らも蝶となって飛び立っていくシーンがあるが、これは原作にはない映画オリジナルの描写で、夢の中で描かれる生命の象徴としての綿毛が、過酷な現実の描写と対比されるように表現されている。
当時、雑誌「アニメージュ」の編集長をしていた鈴木氏は、「風が吹くとき」が日本で初公開された87年8月号で「緊急特集」として、表紙を含む巻頭14ページを割き、本作を大々的に特集した際を振り返ってのコメントを寄せている。映画は8月2日から新宿武蔵野館ほか全国順次公開。
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