【第77回カンヌ国際映画祭】最高賞はショーン・ベイカー、セックスワーカーとロシア富豪の結婚描く「Anora」 ジョージ・ルーカスへ栄誉賞
2024年5月26日 09:01

第77回カンヌ国際映画祭が5月25日に閉幕し、評価の高かったショーン・ベイカーの「Anora」にパルムドールが授与された。
「Anora」は、ブルックリンでセックスワーカーをしているヒロインが、ロシアの大富豪の息子に出会い電撃結婚をするものの、事情を知った両親から猛反対に遭う、という物語をときにコミカルにエネルギッシュに描く。この監督らしいフィールグッドな作品だ。受賞のスピーチで彼は、とくに尊敬するフランシス・フォード・コッポラとデビッド・クローネンバーグとともにコンペティションに参加できたことの感動を表現。また映画を映画館で観ることの体験の素晴らしさを力説し、映画の未来に希望を託した。
グランプリに輝いたのは、インドの女性たちの生活を優しく見つめたパヤル・カパディヤの「All We Imagine as Light」。イランで8年の禁錮刑を宣告され、国外に脱出したモハマド・ラスロフの注目作「The Seed of the Sacred Fig」は、特別賞を授与された。
下馬評の高かったジャック・オディアールのミュージカル映画「Emilia Pérez」は審査員賞と、メインの女優たち(カーラ・ソフィア・ガスコン、ゾーイ・サルダナ、セレーナ・ゴメス、アドリアナ・パズ)のアンサンブルに対して女優賞が与えられた。賞を代表して受け取ったトランス女優のソフィア・ガスコンは、「日頃暴力や差別を被ったり、苦しみを抱いている人々に替わってメッセージを伝えたい。でもこの映画はすべての人に向けられたものです。人間はいつでも変われる、より良くなることができるという美しいメッセージに満ちています」と、エモーショナルなスピーチをおこなった。
一方、男優賞には、ヨルゴス・ランティモス監督作、「憐れみの3章」のジェシー・プレモンスが輝いた。さらに1910年代のアジアの国々をめぐるミゲル・ゴメスの「Grand Tour」は監督賞を、デミ・ムーアとマーガレット・クアリーの体当たりの演技がインパクトをもたらす、コラリー・ファルジャによる衝撃的な「The Substance」は、脚本賞を与えられた。
審査について尋ねられた団長のグレタ・ガーウィグは、「さまざまなディテールについてみんなで議論しあいましたが、賞を決めるのはとても難しかった」と明かした。審査員メンバーのリリー・グラッドストーンは言葉を添えて、「バランスよく賞が行きわたるように努力しました。みんなの意見が一致しないこともありましたが、受賞の結果はコラボレーションの結果です」と語った。たしかに、下馬評の高かった人気作はほとんど賞に絡んだ印象がある。
また今年のセレクションの傾向として、以前ならコンペティション向きではないと思われたジャンル映画やエンターテインメント系アクション映画などが見られたのも、変化を感じさせた。
セレモニーではジョージ・ルーカスへの栄誉パルムドールの授与もあったことから、レッドカーペットでは「スター・ウォーズ」のテーマが流され、ルーカスが登場すると大きな歓声が湧いた。さらに舞台では、コッポラがルーカスにトロフィーを渡し、再会を祝福し合う感動的な場面も見られた。(佐藤久理子)

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