“人間世界の縮図”団地を舞台にした映画4選 ラジ・リ新作「バティモン5」「雨を告げる漂流団地」など

2024年5月25日 14:00


「団地映画4選」気になるラインナップは?
「団地映画4選」気になるラインナップは?

フランスの気鋭監督ラジ・リの新作「バティモン5 望まれざる者」が、5月24日に公開された。パリ郊外(バンリュー)に存在する団地を舞台にした本作にちなみ、“人間世界の縮図”ともいえる団地で物語が展開する「団地映画4選」をご紹介する。


■「バティモン5 望まれざるもの」(ラジ・リ監督/公開中)

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都市再開発を目前に控えた移民居住棟エリアの一画、通称「バティモン5」。そこでは、再開発のために、老朽化が進んだ団地の取り壊し計画が進行している。前任者の急逝で臨時市長となったピエール(アレクシス・マネンティ)は、自身の信念の下、バティモン5の復興と治安改善のための政策の強行を決意する。しかし、その横暴なやり方に住民たちは猛反発。やがて、移民たちに寄り添い、ケアスタッフとして長年働いていたアビー(アンタ・ディアウ)たちを中心とした住民側と、市長を中心とした行政側が、ある事件をきっかけについに衝突し、激しい抗争へと発展していく。

▽“団地的”見どころ
 葬式の時は皆で棺をかつぎ、果ては団地の一室に、故郷の味の食堂を開店! 団地というよりは、もはや「ひとつの大家族」という印象を与える。


■「GAGARINE ガガーリン」(ファニー・リアタール監督、ジェレミー・トルイユ監督/2022)

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パリ郊外の「ガガーリン公営住宅」。16歳のユーリ(アルセニ・バティリ)は、赤レンガの大規模な団地に導かれるかのように、その名前の由来でもある宇宙飛行士を夢見ながら、かつて自分を置いていった母の帰りを信じて待ち続けていた。そんななか、2024年のパリ五輪開催のため、老朽化した団地の解体計画が持ち上がる。ユーリは帰らぬ母との大切な思い出が詰まったこの場所を守るため、友人たちと一緒に取り壊しを阻止するために動き出す。

▽“団地的”見どころ
 ユーリは住民たちがいなくなった後、かつて人々が住んでいた部屋を、宇宙船のように自らの手で改築! 団地が舞台にも関わらず、ユーリと一緒に宇宙旅行を体験したような気分になる不思議な映像が見どころ。


■「雨を告げる漂流団地」(石田祐康監督/22)

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姉弟のように育った幼なじみの航祐と夏芽。しかし、航祐の祖父・安次の他界をきっかけに、ふたりはギクシャクし始めた。そんな夏休みのある日、航祐はクラスメイトとともに“夏休みの課題研究”と称し、取り壊しの進む「おばけ団地」に忍び込む。実はその団地は、航祐と夏芽がかつて暮らした思い出の場所でもあった。ふざけながら団地を散策するなか、航祐は思いがけず夏芽と遭遇。ふたりがいつものように喧嘩をしていると、突然不思議な現象に巻き込まれ、気付くとそこはあたり一面の大海に。団地は航祐たちを乗せたまま、謎の海を漂流し始める。

▽“団地的”見どころ
 住んでいた人々の記憶とともに、海を漂流する団地。子どもたちとともに、大海原をサバイブする団地の姿も必見。


■「団地」(阪本順治監督/16年)

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昭和の風情が残る大阪郊外の団地で、ヒナ子(藤山直美)は、半年前に店を閉めたばかりの元漢方薬局店主である夫・清治(岸部一徳)と静かに暮らしていた。どこか世捨て人のような雰囲気を持つ夫婦に、同じ団地の住民たちは興味津々。そんなある日、些細な出来事で機嫌を損ねた清治が「僕は死んだことにしてくれ」と、部屋の床下に隠れてしまう。団地から清治の姿が消えても、淡々とパートに通い続けるヒナ子。「もう殺されてるんじゃないか……」--住人のひとりがうっかり口にした言葉をきっかけに広がった不安は、一気に想定外の方向へと進んでいく。

▽“団地的”見どころ
 企業城下町である愛知・豊田市に実在する保見団地がモデル。住民の多くがブラジルにルーツを持ち、地元の向上などに勤務している。1999年には団地住民と、右翼団体や暴走族による抗争事件が発生した。

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