「名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)」声優・あらすじ・トリビア 原作者・青山剛昌の原画エピソードもご紹介
2024年4月19日 21:00
国民的アニメの劇場版最新作「名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)」の公開を記念し、シリーズ第26弾「名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)」が、本日2024年4月19日の午後9時から日本テレビ系「金曜ロードショー」で、本編ノーカット・初放送される。この記事では映画.com編集部が、声優、あらすじなどをご紹介。原作者・青山剛昌先生の提案で生まれた名シーンや、本作までにシリーズ過去最多となる原画を担当したシーンなど、トリビア&裏話満載でお届けする。
世界中の警察が持つ防犯カメラをつなぐ海洋施設「パシフィック・ブイ」が東京・八丈島近海に建設され、本格稼働に向けて世界各国のエンジニアが集結。そこでは顔認証システムを応用した、ある新技術のテストが行われていた。一方、コナンたち少年探偵団は、園子の招待で、ホエールウォッチングのために八丈島を訪れていた。
やがてコナンのもとに、沖矢昴(赤井秀一)から、ドイツでユーロポールの職員が、黒ずくめの組織のジンに殺害されたという知らせが入る。不審に思ったコナンはパシフィック・ブイに潜入するが、そこでひとりの女性エンジニアが組織に誘拐される事件が発生。そして、八丈島に宿泊していた灰原哀のもとにも黒い影が忍び寄る。
●毛利蘭(山崎和佳奈)
●毛利小五郎(小山力也)
●灰原哀(林原めぐみ)
●安室透/降谷零/バーボン(古谷徹)
●赤井秀一/沖矢昴/ライ(池田秀一/※沖矢昴は置鮎龍太郎)
●ジン(堀之紀)
●ウォッカ(立木文彦)
●ベルモット(小山茉美)
●キール/水無怜奈/本堂瑛海(三石琴乃)
●キャンティ(井上喜久子)
●コルン(木下浩之)
●ラム(千葉繁)
●牧野洋輔(沢村一樹)
●直美・アルジェント(種崎敦美)
●レオンハルト(諏訪部順一)
●エド(神谷浩史)
●グレース(村瀬歩)
●ハンス(土田大)
●ニーナ(宮原永海)
●丑尾寛治(沢木郁也)
●阿笠博士(緒方賢一)
●吉田歩美(岩居由希子)
●円谷光彦(大谷育江)
●小嶋元太(高木渉)
●鈴木園子(松井菜桜子)
●黒田兵衛(岸野幸正)
●目暮十三(茶風林)
●佐藤美和子(湯屋敦子)
●白鳥任三郎(井上和彦)
●ジェイムズ・ブラック(土師孝也)
●ジョディ・スターリング(一城みゆ希)
●アンドレ・キャメル(乃村健次)
●イーサン・本堂(小山力也)
●風見裕也(飛田展男)
●宮野明美(玉川砂記子)
スピッツ「美しい鰭」
メガホンをとったのは、「名探偵コナン ゼロの執行人」(2018)を手がけた立川譲監督。
2023年4月14日に公開されると、3日間で興行収入31億4638万7340円、観客動員217万6407人を記録。3日間の興収としては、それまでシリーズ歴代No.1ヒット作だった第25弾「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」(22)対比で164%となった。
特大ヒットスタートから、その後も勢いは衰えず、最終興収は138億8000万円を記録。劇場版シリーズとして初めて100億円の大台を突破し、シリーズ史上No.1の大ヒットとなった。なお、2位は「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」(97億4000万円)、3位は第23弾「名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)」(19/93億7000万円)と続いている。
映画.comでは劇場公開時、トムス・エンタテインメントの岡田悠平プロデューサーにインタビューを敢行。原作者・青山剛昌先生の本作への提案やアイディアについて、以下のように語っている。
「青山先生からは全編にわたり、セリフやシーンなどの細かい変更はありましたが、1番大きかったのは、コナンと灰原が浮上していくシーンですね。詳しくは話せないのですが、もともとピンチが訪れるアクションも多いシーンだったところを、青山先生の提案で、キャラクター同士の感情が印象的なシーンになりました。制作陣も、青山先生が変更されたシーンを見て、『これは名シーンになるぞ!』と」
ファンの間では、劇場版が公開されるたびに、青山先生が原画を手がけたシーンが注目を集める。青山先生は、自身で原画を担当するシーンを、どのような基準で選んでいるのか。岡田プロデューサーに質問してみた。
「青山先生ご本人しか分からない部分ではありますが、僕から見ると、やっぱり全て決めのカットで、感情が揺さぶられるアップのカットが多いですね。青山先生が絵コンテを見て、『ここに決めカットを入れたいな』『ここは僕が描きます』という形で、修正・リクエストしてくださいます。もともと存在しなかったところに、青山先生がアップを追加して、『描きます』とおっしゃってくださることもありますね。漫画的というか、『ここが重要だ』という箇所を選んでいらっしゃるのではないかと思います」
青山先生は、本作までのシリーズ過去最多となる10カットを担当している。
「コナン、灰原、蘭、ジン、ベルモット、安室、赤井らが登場する、過去最多となる合計10カットを描いてくださっています。青山先生ご自身も、描きたいカットが多かったんじゃないでしょうか。制作陣も事前に、青山先生がどこを描いてくださるか、予想したりもするんですよ(笑)。例えばベルモットのあるシーンは、最初は青山先生が描かれる予定はなかったんですが、立川監督が『描いてくれないんですか?』と言って、『それなら描くよ』と言っていただきました。重要なシーンだったので、立川監督も、青山先生に描いていただきたいという思いが強かったんだと思います。あとは、コナン・赤井・安室が共闘するシーン。赤井、安室、コナンと、青山先生の原画が3シーン続くんです」
「青山先生の絵って、柔らかいじゃないですか。一方で、アニメのキャラクターたちはシャープなんですよ。シャープな線から柔らかい線へ、柔らかい線からシャープな線へ。このコントラストが美しいんだと思います。目の書き方で分かることもありますね。柔らかい線で、感情を揺さぶるアップのシーンは、青山先生の原画であることが多いですね」
2023年4月4日に行われた完成披露試写会には、本シリーズの舞台挨拶としては初めて、林原めぐみ(灰原哀役)がマスコミの前に登壇。「台本を読んだ途端に号泣した」という林原は、「冷静になったら、哀ちゃんが泣いているんじゃなくて、私が泣いているんじゃないかなって。『いつ死んでもいい』と思っていた彼女が、これだけの人たちに愛されていると知り、生きると自分で決意したことに泣いていたんだなと」と、その理由を明かした。
4月15日の公開記念舞台挨拶で、林原は灰原を、「人は変われるんだということを体現し、教えてくれるキャラクター」と表現。「今回は生きることに対して、強い意思を抱いている。もう哀(あい)のことを、哀しいと思う人は誰もいないはず。みんなが愛(あい)をくれたことで、氷のような心が解けて、いまここにいるなと全身で感じることができる」と、思い入れはさらに強くなったようだ。
高山みなみ(コナン役)と林原の対談では、キャラクターふたりの関係について、高山は「運命共同体です。このふたりの間には誰も入れない」と語っている。体が小さくなったという秘密や苦悩を共有するふたりの唯一無二の関係に注目だ。
さらに、堀之紀(ジン役)、立木文彦(ウォッカ役)、小山茉美(ベルモット役)、古谷徹(バーボン役)による、「TEAM黒ずくめの組織」の対談も実現した。灰原をどこまでも追いつめるジン役の堀は、「あの子は見ているといじらしいんだよね」とコメント。古谷に「堀ちゃん、哀ちゃんのこと結構好きでしょ?」と聞かれ、「そうそう、好きなの」「ジンって組織の人間の名前以外で口にするのはほとんど『シェリー』なんだよね。だからどうしても林原さんが演じているキャラクターに目がいっちゃうのよ」と、灰原“愛”を垣間見せた。
そして話題は、黒ずくめの組織メンバーの関係へと移る。堀は、「僕はね、ジンは誰も信じていないと思ってる」「ジンはウォッカに対して最大の信頼をしているけど、信用はしていない。だからウォッカと言えども何かしくじったら多分ジンは撃つでしょうね。ジンにとってはあの方もラムもどうでもよくて、唯一忠誠を誓っているのは『組織』だけだと思います」と解説する。
黒ずくめの組織メンバーの、時には協力しながらも、互いに誰も信じていない、絶妙なバランス。そのなかにあっても唯一、ウォッカからのジンへの忠誠心は本物だといい、「ジンへの愛ですよ。嫌われたらおしまいだって気持ちで演じています」(立木)、「こっちはね、感じているよ。ウォッカの愛は本当に感じている」(堀)と語り合っていた。