定番作品「映画ドラえもん」の最新作は“オリジナル版” 音楽が題材「のび太の地球交響楽」の興行収入を左右するものは何?【コラム/細野真宏の試写室日記】
2024年3月1日 08:30

映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)(文/細野真宏)
毎年恒例の「映画ドラえもん」シリーズの長編映画43作目「映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)」が今週末3月1日(金)から公開されます。
映画ドラえもんは「リメイク版」と「オリジナル版」が共存しながら進んでいますが、前作「のび太と空の理想郷(ユートピア)」に引き続き、本作は「オリジナル版」です。
「映画ドラえもん」シリーズの興行収入については、基本的に「リメイク版」の興行収入は低くなり、「オリジナル版」の興行収入は高くなる、といった傾向があります。
象徴的な事例で言えば、2022年3月4日に公開された長編映画41作目「のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ) 2021」。個人的には非常に完成度が高いと感じていましたが、興行収入26.9億円という残念な結果に終わっています。
そして、2023年3月3日(金)に公開された長編映画42作目「のび太と空の理想郷(ユートピア)」は「オリジナル版」。クオリティーの高さも功を奏し、興行収入43.4億円となり、無事に興行収入40億円台に回復しました。
(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 202「のび太の地球交響楽(シンフォニー)」を手掛けたのは、シリーズ最高興行収入53.7億円を記録した「映画ドラえもん のび太の宝島」(2018年)と、興行収入33.5億円の「映画ドラえもん のび太の新恐竜」(2020年)の今井一暁監督。
本作で映画版3作目の参加となり、今後の「映画ドラえもん」シリーズで期待されている人材です。
ただ、これはあくまで私の個人的な相性の問題に過ぎないのですが……これまでの2作品とも、あまりハマらなかったのが正直な感想です。
「のび太の地球交響楽(シンフォニー)」では、これまでのように絵コンテに加え、脚本原案までも担当するなど力が入っているようだったので注目して見てみました。
音楽を題材にするのは、壮大さを表現しやすく、映画らしく良いと感じました。
(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 202
(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 202とは言え、物語自体が全体的に必然性に欠けていたように思えて、私自身はあまり入り込めずに終わってしまいました。一言でいうと「映画版としては、もっと深いところまでいって欲しかった」という印象でした。
そもそも「映画ドラえもん」シリーズ自体が全体的にクオリティーが高いと思っています。そのため、それらとの対比で……という話になりますが、個人的な評価としては平均よりは下の方でした(ちなみに、試写でギョッとしたのは2008年の「のび太と緑の巨人伝」。この時は「もう映画ドラえもんも長くはないのかな…」といった危惧さえ持ちましたが、もちろんそこまでのレベルではないです)。
(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 202さて、本作で気になるのは興行収入です。このところの傾向を見ると、興行収入40億円台が「オリジナル版」での目標となっているように感じます。
ただ、今回は興行収入40億円を割って、興行収入30億円台で終わってしまうかも……と感じました。
その一方で、シリーズ作品としての強みがあるので、「興行収入が、前作の出来に左右される」という面もあります。
つまり、「前作を見た人の満足度が高ければ、そのレベルを期待して本作を見に来る」という流れです。
その流れが上手く機能すると、無事に興行収入40億円台を維持できることも考えられます。果たしてどのような結果になるのでしょうか。大いに注目したいと思います!
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