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橋本愛、狂気的で猟奇的な愛を持つ主人公は「視野が広がって、かけがえのない経験に」

2024年2月3日 14:51

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作品への思いを語った橋本愛、仲野太賀ら
作品への思いを語った橋本愛、仲野太賀ら

橋本愛が主演を務め、2019年の新宿ホスト殺人未遂事件から着想を得た「熱のあとに」の公開記念舞台挨拶が2月3日、東京・新宿武蔵野館で行われ、共演の仲野太賀木竜麻生山本英監督が登壇した。

本作は、愛したホスト・隼人を刺し殺そうとした過去を持つ沙苗(橋本)の振り切った愛し方を、静謐な映像で綴る物語。東京藝術大学大学院で諏訪敦彦黒沢清らに師事した新鋭・山本英監督の商業デビュー作となる。

橋本が主演を務め、愛する男を殺そうとした過去を持つ女の一途で狂気的な激情を静謐な映像で描いたドラマ。自分の愛を貫くため、ホストの隼人を刺し殺そうとして逮捕 。そして事件から6年後、自分の過去を受け入れてくれる健太(仲野)と見合い結婚をし、平穏な日常を過ごしていたが、ある日、謎めいた隣人女性・足立(木竜)が沙苗の前に現れたことから運命の歯車が狂い始める。

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相手を殺そうとすることさえも愛の形であるとする沙苗について、「すぐに理解するのは難しかった」と正直な思いを吐露する橋本。「でもいろいろ準備を進めていく中で、やはり沙苗の愛こそが本物の愛ではないかと思う瞬間があった。確かに世間からは、狂気をはらんだり、猟奇的に見えるかもしれないけど、むしろ沙苗の目線に立ってみると、まわりの方が狂っているように思えたというか。この愛を知らずにいられる方が理解できないし。そうやって生きられることがある種、うらやましいというような思う気持ちもあったし、この愛こそが生きている証という実感でもあったので、沙苗自身はいたって正気だった。そういう風に正気と狂気が逆転した現象が起きたときに、それが面白くて。そういう感覚は今まで知らなかったし、沙苗を演じることでわたしの視野が広がったので、かけがえのない経験になりました」と振り返った。

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そんな役柄を演じる上で、カメラがまわっていない時は「できるだけすこやかに過ごそうとしていた」と語る橋本。「役者さんによっては、普段から沙苗になりきってじゃないですけど、自分の状態を壊したり乱したりして演じる方法もあるかなと思ったんですが、わたし自身は、本体が壊れると、表現の精度が壊れるタイプの人間だなというのが分かってきたので、わたし本体は快活で、健康的に過ごしていこうと思った」と語る。そして、「今回の役は精神的にギリギリなシーンもたくさんあったんですけど、普段は太賀さんと(木竜)麻生ちゃんをはじめ、キャスト、スタッフさんも、すごく温かかったんです。わたしがわたしのままでいさせてもらった現場だったので、それが本当にありがたかった」と振り返った。

その言葉通り、映画の内容自体は精神の極限のところをギリギリに描いた作品となっていたが、現場はスタッフ、キャストの仲が良く、和気あいあいとした雰囲気が流れていたという。

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仲野が「沙苗と健太のペンションでスタッフさんは寝泊まりしていて。あそこのリビングで大ゲンカするシーンもありましたが、そこで(スタッフ、キャストが)20人くらい集まって、プロデューサーさんがつくる手料理をみんなで食べて。『おいしいね』『楽しいね』『映画って最高だね』なんて話をみんなでして。そんな毎日でした。物語とは全然違う雰囲気で」と振り返ると、橋本も「青春でしたね。3人でボウリングをしたんですけど、みんなスコアが雑魚すぎた。60ー60ー55とか大接戦」と大笑い。木竜も「まれにみる泥仕合を繰り広げましたね。(ボウリングのスコアは)役柄の名前で登録したので、今、みんなで共有しているものを、プライベートでも現場でも楽しんでいた気がします」と述懐した。

その話を聞いて「撮影終わった後にお聞きして、僕は誘われていない」とさみしそうな顔を見せた山本監督の姿に3人は爆笑。木竜からも「今度一緒に行きましょう!」と誘われるなど、チームワークのいい撮影現場だった様子がうかがえた。

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