片岡千之助、祖父・片岡仁左衛門からの助言に感謝
2024年1月18日 21:33
CS放送局の時代劇専門チャンネルで放送予定のドラマ「橋ものがたり『約束』」の完成披露試写会が1月18日、東京・丸の内ピカデリーで行われ、片岡千之助、北香那、望海風斗、小谷興会、今濱夕輝乃、杉田成道監督が登壇した。
2011年から、オリジナル本格時代劇を企画・制作している時代劇専門チャンネルによる今作は、数多くの時代小説を遺(のこ)した作家・藤沢周平の名作短編集「橋ものがたり」の中でも傑作と名高く、屈指の人気作でありながら、これまで映像化されてこなかった「約束」の初映像化作品。「北の国から」の杉田監督が脚本も兼ねた珠玉のラブストーリー。たったひとつの「約束」を心の支えに、江戸の町でひたむきに生きる若い男女の愛の結末を描き出す。歌舞伎界のホープで、さまざまな分野で注目を浴びている千之助が主人公・幸助を演じる。
本作が時代劇初主演作となる千之助は、「今回は本当にリハーサルから勉強させていただきました。基本は歌舞伎の舞台が軸にありますが、映像の経験が本当に未熟な中で、とにかく自然なお芝居をしてほしいと監督に言っていただきまして。それを念頭に置きながら、自分なりにああじゃない、こうじゃないとやりながら。そこが大変でしたし、課題として挑戦させていただきました」と述懐。また映像と舞台との違いについて尋ねられると、「まずは映像の経験がほとんどないというのが難しいと思ったところですが、それともうひとつ。お着物を着るということに関しては歌舞伎で慣れているかなと思っていたんですけど、逆に着物を着てお芝居をしようとすると、舞台のお芝居が出ることが多くて。そこが苦労したところでしたね」と明かす。
そんな本作に挑むにあたり、祖父の十五代目 片岡仁左衛門からアドバイスはあったのか、という質問に「撮影の前日に電話がありました」と語る千之助。「そこで、とにかく慣れないし、映像の芝居をどうしたらいんだろうということを電話越しで話したら、祖父のひとことは『映像というのは、カメラの前に立つだけで芝居やからな』と言うもので。そうだなと思って。そのアドバイスをもとにやらせていただきました」と明かした。そしてその仁左衛門への報告はまだできていないとのことだが、「歌舞伎もまだまだ未熟なので。厳しく見られると思いますが、(自分としては)やりきったなという感じです」と充実感をにじませた。
一方、主人公・幸助の相手役、お蝶を演じた北は、杉田監督の演出に「ぞっこんです」とラブコール。「撮影していく上でいろんな演出をしていただくんですが、そのご提案に毎カット、ハッとさせられるんです。こんなやり方があるんだと思って。そこに自分のお芝居を寄せていく作業というのが本当に楽しくて。毎日、ワクワクしながら現場に行っていたので、休みの日がさみしいと思うような。また演出を受けたいなと思うくらいぞっこんです」と笑顔。それを受けた杉田監督は「言い過ぎですよ」と照れくさそうな顔を見せると、「(映画を)ご覧になったら分かると思いますけど、彼女は怪物ですよ。こちらがボールを投げるとさざ波どころか、大波で返ってくるという感じで。スタッフもあ然という感じですよね」と感服した様子を見せた。
また、元宝塚歌劇団雪組トップスターの望海にとって、本作が映像作品初出演作であり、時代劇初挑戦となる。「本当にはじめてのことだらけで。皆さんにご迷惑をおかけしないようにと心配だったんですけど。監督にお話をした時に、『わたしはお稽古しないとできないです。リハーサルがないとできないです』とお伝えしたら、『稽古ありますよ』とおっしゃっていただいて。それで頑張ろうと思いました」と語る望海は、「実際に現場に行くと、すべてがリアル。タイムスリップしたのかなと思うくらいにいろんなものに助けられて。勉強させていただきましたし、同じセリフを(角度を変えて)何回も撮るじゃないですか。そういう話は今までも聞いたことがあったんですけど、これを何回もやっていいものができて、つなげていくんだと思って。あらためて皆さんのことをすごいなと思います」と共演者たちに尊敬のまなざしを向けるひと幕もあった。
そんな杉田監督にとって、藤沢作品を手掛けるのは本作で4本目となる。そこで改めて藤沢作品の魅力について質問がおよぶと、「やはり人情の機微じゃないですかね。時代劇というのはどうしてもアクションの方に寄りがちですが、藤沢さんの作品は、日本人の底流に流れているようなものを実にうまくすくい取ってくれているので。今でもファンが多いというのはよく分かりますね」とその魅力についてしみじみと語った。
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