“性暴力と心の傷”というテーマに挑んだ前田敦子に注目 三島有紀子監督作「一月の声に歓びを刻め」予告編公開
2023年11月29日 07:00
前田敦子、カルーセル麻紀、哀川翔が共演する、三島有紀子監督の最新作「一月の声に歓びを刻め」の予告編が、このほど公開された。
本作は、三島監督自身が47年間向き合い続けた“ある事件”をモチーフに、自主映画からスタートしたオリジナル企画。「性暴力と心の傷」という難しいテーマにあえて挑み、心の中に生まれる罪の意識を静かに、深く見つめる映画となっている。八丈島の雄大な海と大地、大阪・堂島のエネルギッシュな街と人々、北海道・洞爺湖の幻想的な雪の世界を背景に、3つの罪と方舟をテーマに、人間たちの“生”を圧倒的な映像美で描いていく。
予告編は、道をさまよう“れいこ”(前田敦子)と、レンタル彼氏(坂東龍汰)のふたりの姿を活写。「なんで私が、罪感じなきゃいけないんだよ」と意味深な言葉を吐露するれいこ。その一方で、雪深い道なき道を歩むマキ(カルーセル麻紀)が「れいこ…」と呟き、誠(哀川)が険しい顔つきで鉄パイプを手に握る。やがて、れいこは「わたし…6歳のときに変な男に変なことされたんで…。自分の身体なんか…好きな人とできる身体じゃないなって…」と衝撃の告白とともに泣きじゃくる。幼いれいこの心に、罪深い影を落とした心の傷が、成長した彼女を今でも苦しませ続けているのだ。
映像では、前田がアカペラで歌う劇中歌が流れている。三島監督が本作の脚本を執筆中に、とある映画館のカフェで偶然耳にした奇妙礼太郎の「きになる」(作詞・作曲:早瀬直久 https://youtu.be/uJHKbq2BZmw)のカバーだ。「知らない間に、見違えるほどきれい。何にも知らなくても、幸せになれるかな」という歌詞と、悲壮感漂う前田の歌声。だが、オリジナルの奇妙礼太郎の「きになる」は、対照的に明るい歌唱で、歌詞全体も前向きなものだ。そのギャップが本編でどのようにいかさせているのだろうか。期待が高まる内容となっている。
なお、実施中のマスコミ向け試写会では満席回が続出しているようだ。
抑制された演技からはじまり、感情が流露される終盤にかけてエモーショナルに高まっていく難しい役どころを演じ切っている前田に「間違いなく、俳優としての新境地を開いた」「前田敦子の俳優人生を代表する一作になる」「とても力強く人生をエンパワーメントしてくれる」と、映画評論家やクリエイターから絶賛のコメントが次々と寄せられている。
さらに「80歳のカルーセル麻紀がノーメイクでマイナス20度の雪原で挑んだ命懸けの演技が凄すぎた」「哀川翔の俳優という身体の凄絶さに改めて圧倒される」など、脇を固めるキャストにも注目が集まっている。
「一月の声に歓びを刻め」は、2024年2月9日からテアトル新宿ほか全国公開。
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