濱口竜介監督作「悪は存在しない」広島国際映画祭でジャパンプレミア 全国公開は24年4月26日に決定
2023年11月27日 15:00
濱口竜介監督の最新作「悪は存在しない」のジャパンプレミアが11月26日、広島国際映画祭で行われた。あわせて、日本では2024年4月26日から、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シモキタ-エキマエ-シネマ K2ほか全国の劇場で公開されることが発表された。
「ドライブ・マイ・カー」でアカデミー国際長編映画賞、カンヌ国際映画祭脚本賞、「偶然と想像」でベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞するなど国際的に高く評価される濱口監督。本作は、ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞/第80回)受賞を果たした長編作品となっており、「ドライブ・マイ・カー」でもタッグを組んだ音楽家・シンガーソングライターの石橋英子と濱口監督による共同企画として誕生した。
広島国際映画祭上映後、濱口監督、企画・音楽の石橋、出演の大美賀均、西川玲、小坂竜士、渋谷采郁らが舞台挨拶トークショーに登壇。ティーチインを含む1時間のトークを繰り広げた。
司会から国内初のジャパンプレミアを終えた感想を聞かれると、濱口監督は「広島では自分の初期の作品から上映していただき、また『ドライブ・マイ・カー』のメインロケ地として石橋さんと出会い、素晴らしい仕事ができて、その続きとして『悪は存在しない』のジャパンプレミアでまた広島に来られて本当に心から嬉しく思います」と回答。石橋は「『ドライブ・マイ・カー』の時は広島に来ることができなかったのでようやく来ることができたという気持ちでして、こうして広島の地で皆さんと作品を共有できて嬉しいです」と気持ちを伝えた。
キャストの大美賀は「いろんな映画祭を巡って映画を紹介していただく経験は初めてで、このような作品に関われて嬉しいです」と語り、大美賀と親子役を演じた西川玲は「こうやってマイクを持って大勢の前でお話することも初めてで、お弁当を食べたりしてすごく楽しいです」と元気いっぱいに答えた。続いて小坂は「この場所でこういう機会を与えてもらって嬉しいです。自分も広島で『ドライブ・マイ・カー』でスタッフとして参加していたので大変嬉しいです」、渋谷は「初めて広島に来たのですがこんなに広い会場で大きな拍手で迎えていただいて、あたたかい雰囲気ですごく嬉しいです」と胸の内を明かしていた。
話題は「悪は存在しない」が生まれたきっかけに。
石橋「海外のプロモーターの方から、映像と一緒にライブをやらないか?と言われた時、あまりピンとは来なかったんですが、映像と音楽がそれ自体面白くて独立したものが作れれば、ライブでも毎回演奏の計画とかを色々変えていくことができて飽きずに演奏していけるんじゃないかと思って、人柄もチャーミングで作品も大好きな濱口さんにお願いしました」、
濱口監督「お話をいただいて、はじめは『どうしよう!』と思いました。ライブでの映像は結構抽象的な映像のイメージがあったので。その後石橋さんから『濱口さんのいつものやり方で』とおっしゃっていただき、そこから普通に脚本を書いて劇映画を作る、そうすれば自由に使える映像素材が得られると思い、『GIFT』というライブパフォーマンス用映像が完成しました。ただ自分自身が役者さんのセリフの声を聞いてしまうと感動するところもあったので石橋さんに確認を取ってもう1本、『悪は存在しない』を作ることになりました」
石橋「すごく嬉しかったですね。それこそ“GIFT”でした」
濱口監督は「このように経緯を説明するだけでかなりの時間がかかってしまうんです。そしてもう一つ入り組んでいることを説明しますと、主演の大美賀さんは、元々スタッフとしてシナハン時の運転手をやってもらっていたところ、そのうち『あら!いいじゃない!』という気持ちになりまして(オファーしました)」と明かし、場内の笑いを誘った。大美賀は「こんなふうに映画祭を回るなんて全く想定していなかったんですが、濱口監督の元でそういう経験をするのはすごく大事だなと思って受けました」と答え、その返答を受けて、濱口監督は「大美賀さんは来月に監督作が控えてますんで」とフォローした(※大美賀均監督作品「義父養父」は12月15日から下北沢のK2で公開)。
西川は、撮影や映画本編で印象に残っていることについて「映画の中でうどん屋のシーンがあるのですが、そのシーンに自分は出てなくて、うどんが食べられなかったことです」と回答。小坂は、映画の中の説明会のシーンをあげて、同シーンを演じて以来、「テレビなどの記者会見で叩かれてる人を見ると、気になるようになった」と答えていた。
また、濱口監督は、小坂との縁を当時「ドライブ・マイ・カー」の車両部スタッフをやっていた時からチェーホフが好きなドライバーと認識しており、印象に残っていたことを明かした。また、小坂は「悪は存在しない」への出演が決まり、当初はサイレント映画だと知らされていたが届いた台本では“自身のパートで6ページもあったことに驚いた”と語っていた。
最後に、石橋は「自分が企画させていただいた作品なんですが、私自身が他人ごとのように大好きな作品なので、こうやってあたたかい時間を過ごさせていただいてありがとうございました」と述べると、濱口監督は「正直、完成した自分の作品を何度も見ることはあまりないんですが、この『悪は存在しない』は珍しく何度も見てます。本当に飽きがこない作品なので、皆様にもぜひ何度もご覧いただいていただけたら大変嬉しいです」と締めくくった。
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