【「ザ・クリエイター 創造者」評論】ギャレスが描く独創的なA.I.大戦は、フランチャイズ由来のスケールが活きる!!
2023年10月22日 17:00

ジェームズ・キャメロンやクリストファー・ノーランのように、市場性を担保に想像力豊かなオリジナルSFに着手できる者は一握りだ。意識的にオリジナルを攻めるニール・ブロムカンプのような野心家もいるが、「エリジウム」(2013)も「チャッピー」(2015)も興行的成功には至らず、継続は思うようにはいかない。
予算のかかるSF大作には、すでに知名性が確立しているフランチャイズ傘下のものが多い。だがそれに身を委ねるだけでは表現域が先細り、既視感の強いイメージばかりを我々は目にすることになる。今やスーパーヒーロー映画に、ストレスを覚え始めているのは自分だけなのだろうか?
ゴジラとスター・ウォーズという、2大フランチャイズを経験したギャレス・エドワーズの新作は、オリジナルに立ち返り、デビュー作「モンスターズ 地球外生命体」(2010)をベースにするような探究のロードムービーだ。A.I.の核攻撃によって人類は警戒を強め、彼らを根絶やしにしようとしている近未来。A.I.の生産を止めないニューアジアとアメリカは戦闘状態にあり、後者は軌道上から破壊攻撃をする軍事ステーション「ノマド」で戦局を有利にしていた。
物語はそのノマドに対抗する、ニューアジア側のクリエイター(創造主)が新たに開発したAI型兵器を無効化すべく、元米軍人のジョシュア(ジョン・デヴィッド・ワシントン)が敵陣に潜り込む。だがその究極兵器の正体は、あどけない少女型のシミュラント(模造人間)だったのだ。
映画はノマドによるA.I.勢力の一掃というタイムリミットを設け、その過程でA.I.少女誕生の目的と製造の秘密、そしてジョシュアの心変わりを解き明かしていく。シミュラントが人間社会に溶け込んだグラフィックは異様だが、誰も見たことのない驚きに満ちており、そこにはシリーズの連続性や既知のキャラクターに依存しない、本作のオリジナルSFとしての利点や誇りが感じられる。
だが同時にギャレスは、巨額の大作を手がけた経験を肯定的に活かし、スケール幅とキャラクター描写に膨らみを与え、映画の中で熱い血流となって脈づかせている。それはオリジナル一辺倒では果たすことのできない至芸として、フランチャイズの存在を全否定しないものだし、それが生み出す凄まじい高揚感とエモーショナルな展開は、本作を今年最高のSF映画といえるレベルにまで到達させている。オリジナルとフランチャイズのハイブリッドとでもいうべきか、驚異的な傑作の誕生だ。
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