稲垣吾郎「正欲」で新たな一面を魅せる 岸善幸監督「『十三人の刺客』のようにただならぬ狂気を発する方」
2023年10月7日 09:00
朝井リョウ氏の小説を映画化する「正欲」の新場面写真が、このほど披露された。写し出されているのは、中心人物のひとりを演じた稲垣吾郎。メガホンをとった岸善幸監督は、稲垣について「ただならぬ狂気を発する方」と評している。
本作は家庭環境、性的指向、容姿――さまざまに異なった“選べない”背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら「人が生きていくための推進力になるのは何なのか」というテーマを炙り出していく衝撃的なストーリー。稲垣のほか、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香らが共演している。
映画や舞台を中心にさまざまなフィールドで活躍し続けている稲垣。2010年、映画「十三人の刺客」(三池崇史監督)で演じた暴君・松平斉韶役が高く評価され、第23回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞助演男優賞、第65回毎日映画コンクール男優助演賞など数々の名だたる賞を受賞。2019年公開作「半世界」では、過疎化した地方都市で妻と息子とともに暮らす備長炭の職人の主人公を演じ、これまでのイメージにない不器用な父親像が話題を呼び、第31回東京国際映画祭の観客賞、第34回高崎映画祭最優秀主演男優賞を受賞した。22年、今泉力哉監督作「窓辺にて」では、妻の浮気に思い悩むフリーライターの主人公を好演。精力的に映画に出演するなか、23年には主演舞台「多重露光」も控えている。
なお、「正欲」は、第36回東京国際映画祭のコンペティション部門に正式出品。稲垣の主演映画がコンペティション部門に選出されたのは「半世界」「ばるぼら」「窓辺にて」に続き、4作品連続となった。
本作で演じている寺井は、横浜検察庁に務める検察官であり、自分の力でマイホームを持ち、妻と子を養うサラリーマンだ。予告映像が公開された際、SNSでは「どんな俳優稲垣吾郎が観られるかそれも楽しみ」「稲垣吾郎さんこの役なのか! 見に行きたい…!」「映画が楽しみでしかありません。役者稲垣吾郎の新たな一面に期待」と期待値が高まっていた。
稲垣は本作の映画化決定にあたり「脚本を読み終えた時、この作品に関われる事を嬉しく思いました」「難しい題材にチャレンジする、監督、スタッフの皆様と共に丁寧に演じていきたいと思います」と意気込みを語っている。
岸監督は、稲垣の起用理由について、以下のように明かしている。
岸監督「稲垣吾郎さんには以前から関心を持っていたので、プロデューサーにお願いしました。現場では本当にいろいろなことを話しましたね。普段はとても真摯で、ジェントルですが、演じるときには『十三人の刺客』のようにただならぬ狂気を発する方なので、とても魅かれていました。今回の啓喜役はそれを隠してもらわないといけない役柄で、どう演じてくれるのかすごく楽しみでした。でも撮影が進んでいくと“普通”の側の人の狂気みたいなものが欲しくなってきて、やはり稲垣さんなりの狂気が垣間見える瞬間がありました。そこは期待通りで、とても気に入っています」
「正欲」は、11月10日からTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。