「グランツーリスモ」に大興奮。車がリアル、撮影がリアル、ストーリーもリアル【映画.com編集長コラム】
2023年9月13日 21:00
「グランツーリスモ」が実写映画になったと聞いた時、「ああ懐かしい」という感慨以外に特別な感情は覚えませんでした。その昔、プレイステーションで少しだけプレイした記憶がありますが、とてもマニアックなゲームだなという印象でした。しかし「監督がニール・ブロムカンプだ」と聞いて、俄然前のめりに。ブロムカンプ監督は、SF以外も撮るのか?「第9地区」と「グランツーリスモ」に何の接点があるんだと気になって、試写の鑑賞予約をします。
そして本編を鑑賞したら、ブッ飛びの面白さ、いや、想像のはるか斜め上の大興奮案件でした。今年(2023年)見た映画でもっとも興奮した一本です。現時点で今年の個人的ベストと言ってもいい。さて、どこに興奮したのか?
ストーリーは胸熱系です。自動車メーカーの日産がレーシングドライバーを育成するために、ゲーマーをスカウトする。グランツーリスモの大会で優勝したゲーマーが10名集められ、本物のレーシングドライバーとしてトレーニングされ、実際にレースに出場して活躍する。以上が大まかなストーリーです。
実話に基づくストーリーとは聞いていましたが、「さすがにここはフィクションだろう」「いくら何でもこれは盛りすぎだろう」というようなシークエンスも、実際に起きていたことだと本編の後半で判明します。世の中には、自分の知らなかったミラクルがまだまだたくさんあるんだなあと痛感します。
そして、そんなミラクルなストーリーラインを感動と興奮の極みまで高めているのが、ブロムカンプ監督によるエクストリームな撮影の数々です。とにかく、サーキットのレースシーンがめちゃめちゃ凄い。もの凄い迫力と臨場感で観客を没入させるのです。
描かれるサーキットも、ニュルブルクリンク、ハンガロリンク、レッドブル・リンクなどなどレースファンなら誰もが知ってる有名なサーキットで実際にロケが行われています。
ブロムカンプ監督自身が、撮影方法について語っているYouTube動画(https://youtu.be/fpFMBx6n_LY?si=d54XfMBKzwcnKZdR)がありますので、そちらを貼っておきます。
監督は語っています。「俳優をレースカーに乗せて実際の速度で走らせた」と。まるで、「トップガン マーヴェリック」じゃないですか。「グランツーリスモ」は「陸上のトップガン」ですよ。
空撮には、FPVドローンを使っています。競技などで使われる、操縦者がゴーグルをつけてFPV(First Person View)一人称視点で撮影できるドローンです。加えて、「カメラを先端につけた撮影車をレースカーと同じスピードで走らせて撮影した」と語っています。地を這うような高速映像に、タイヤ片が飛び散るカットなどはこのカメラが活躍した成果です。
コックピットの中にもカメラを設置しています。ドライバーの表情や感情をクローズアップで捉えていて、これも「陸上のトップガン」を裏付けるエピソードですね。
「グランツーリスモ」は、ストーリーラインもさることながら、そのカメラワークが最大の見どころであり、興奮ポイントです。迫力のレースシーンは「カメラがどこにあるのか」注意して見てください。それを考えただけでクラクラします。「ひょっとしてCGでは?」と考えたシークエンスも数々ありましたが、先のYouTube動画を見て「本当に撮っているんだ」と納得できました。FPVドローンの空撮と、地を這うカメラのコンビネーションは、今後の自動車案件のスタンダードになっていく可能性が十分ありますね。
ブロムカンプ監督も「車がリアル、撮影スタイルがリアル、ストーリーがリアル」な映画なんだと語っています。困難なチャレンジを行う姿勢と、その成果に感服しました。自らもNISSAN GT-R(一番安いモデルで1300万円ほど)を所有していたといいますから、相当のカーマニアです。まさにこの映画を撮るに相応しい人物だったと心から思います。
次回はIMAXでこの迫力を体験することに決めました。映画「グランツーリスモ」は9月15日公開です。
Amazonで関連商品を見る
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
室町無頼 NEW
【激推しの良作】「SHOGUN 将軍」などに続く“令和の時代劇ブーム”の“集大成”がついに来た!
提供:東映
サンセット・サンライズ NEW
【新年初“泣き笑い”は、圧倒的にこの映画】宮藤官九郎ワールド全力全開! 面白さハンパねえ!
提供:ワーナー・ブラザース映画
グランプリ作品、配信中!
意外な傑作、続々――! こちらのページでサクッと観られる!
提供:TikTok Japan
【推しの子】 The Final Act
【忖度なし本音レビュー】原作ガチファン&原作未見が観たら…想像以上の“観るべき良作”だった――!
提供:東映
ライオン・キング ムファサ
【全世界史上最高ヒット“エンタメの王”】この“超実写”は何がすごい? 魂揺さぶる究極映画体験!
提供:ディズニー
映画を500円で観る裏ワザ
【知らないと損】「2000円は高い」というあなたに…“エグい安くなる神割り引き”、教えます
提供:KDDI
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。