ウェス・アンダーソン、新作中編をベネチアで披露 ハリウッドのストに「業界が前進するためには公平な取引が行われるべき」
2023年9月2日 12:00

第80回ベネチア国際映画祭でウェス・アンダーソンが、新作中編「ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語」の披露とともに、カルティエ・グローリー・トゥ・ザ・フィルムメーカー賞を授与された。
本賞は、以前ジャガー・ルクルトがスポンサーとなっていた監督・ばんざい賞に代わり、2021年にカルティエと本映画祭のコラボレーションにより創設され、現代の映画業界にとりわけ独創的な貢献を果たした人物に贈られる。今年のカンヌ国際映画祭でワールドプレミアを迎えた「アステロイド・シティ」が日本でも公開になったばかりのアンダーソンだが、その誰にも似ていない映像スタイルと才気は、まさにこの賞にふさわしいと言えるだろう。

新作は、「ファンタスティックMr.FOX」ですでに取り上げたアンダーソンが愛する作家、ロアルド・ダールの短編を、ベネディクト・カンバーバッチ、レイフ・ファインズ、ベン・キングズレーらを起用して映画化したもの。カンバーバッチ扮する裕福な男が、盲目でもものごとを見抜く力をもった導師のことを聞きつけ、ギャンブルに利用しようとする。矢つぎ早にセリフが紡がれるスタイル、カラフルな舞台美術や凝ったコスチューム、コミカルなトーンなど、アンダーソン節は健在だ。
ベネチアで記者会見に応じたアンダーソンは、今後さらにダールの3つの短編を映画化する予定であり、本作が「とてもとても奇妙な」ダール映画化シリーズのひとつとなることを明かした。

またハリウッドでおこなわれている俳優、脚本家組合のストライキについて尋ねられると、「業界が前進するためには誰にとっても公平な取引がおこなわれるべきだ。いまはみんなが大変な時期にあると思う」と、サポートを意志表示した。
「ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語」はNetflixにより、9月27日から配信される。(佐藤久理子)
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