杉咲花が「脚本を読んで絶対やりたいと思った」と語った役 ある女性の壮絶な半生を描く「市子」予告&ポスター
2023年9月1日 08:00

杉咲花が主演を務め、「脚本を読んで絶対やりたいと思った」と語る「市子」の予告編とポスターがお披露目。あわせて、第28回釜山国際映画祭のジソク部門に正式出品されることもわかった。
原作は、本作の監督を務める戸田彬弘が主宰する「劇団チーズtheater」旗揚げ公演作品であり、サンモールスタジオ選定賞2015で最優秀脚本賞を受賞した舞台「川辺市子のために」。観客から熱い支持を受け、2度再演された人気の舞台だ。
川辺市子は、恋人の長谷川義則からプロポーズを受けた翌日に突然失踪。長谷川が市子の行方を追い、これまで彼女と関わりがあった人々から証言を得ていくと、その底知れない人物像と、切なくも衝撃的な真実が次々と浮かび上がる。
杉咲は、痛ましいほど過酷な家庭環境で育ちながらも、「生き抜くこと」を諦めなかった市子を演じる。抗えない境遇に翻ろうされた彼女の壮絶な半生を、すさまじい熱量で体現。「ものすごくシンパシーを抱いて、脚本を読み終えてすぐ『絶対にやりたい』と思いました」と、出演を決めた。さらに、「本番中に手が痺れたり、想像もつかなかった感情に到達してしまうような瞬間に何度か立ち会えたことが、演じ手として忘れられない時間でした。それがどんな風にお客さまのもとに届くかは怖くもあるのですが、すごい引力を持った作品だったと感じています」と、手ごたえを示している。
若葉竜也は、市子が3年間一緒に暮らしていた恋人・長谷川役。市子の真の姿を知る過程で揺れ動く感情の変化を繊細に演じ切る。さらには、森永悠希、渡辺大知、宇野祥平、中村ゆり、倉悠貴、中田青渚、石川瑠華、大浦千佳らが共演し、市子の知られざる人物像や過去を、第三者の目線から紐解いていく。
予告編は、セーラー服を着た学生時代の市子が、どしゃぶりの雨のなか、天を仰ぎながら「全部流れてしまえ!」と大声で叫ぶ印象的なシーンで幕を開ける。その泣いているようにも笑っているようにも見える表情に、目を奪われる。大人になった彼女はある日、長谷川からプロポーズを受け涙するが、翌日に忽然と姿を消す。途方に暮れる長谷川は、訪ねてきた刑事・後藤(宇野)から耳を疑う話を聞かされ、やがて彼女が名前や年齢を偽っていた過去が徐々に明らかになっていく。底知れない市子の表情に惑わされ、彼女が隠し続けてきた半生が気になる映像に仕上がった。
市子の顔を大きくとらえたポスターには、「すべては、生き抜くために。」というメッセージが添えられている。彼女の視線は、何かを訴えているようでもあり、何も語っていないようでもあり、とらえどころがなく、謎に包まれた人物像が表現されているかのようだ。
さらに、10月4日~13日(現地時間)に開催される第28回釜山国際映画祭コンペティションのジソク部門への正式出品とワールドプレミア上映が決定。ジソク部門とは、新人監督が対象のニューカレンツ部門と並ぶコンペティション部門で、本作を含む10作品がキム・ジソク賞を競う。2017年に設立され、22年から正式なコンペティション部門となったキム・ジソク賞にはこれまで、杉咲の出演作「楽園」や受賞を果たした「羊の木」が出品されてきた。
プログラムディレクターを務めるナム・ドンチョルは、「この映画は、まさに主人公の『市子』という存在そのものに関する映画だ。私たちは市子の過去を辿ってゆくにつれ、その境遇を理解するだけでなく、同時に、彼女を心から抱きしめてあげたい気持ちに駆られる」と、コメントを寄せた。
「市子」は、12月8日から東京のテアトル新宿、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開。
(C)2023 映画「市子」製作委員会
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