杉咲花「精根尽き果てるまで心血を注いだ」 プロポーズを受けた翌日に失踪した女性の壮絶人生を描く「市子」12月公開
2023年7月27日 07:00
原作は、本作の監督・戸田彬弘が主宰する「劇団チーズtheater」旗揚げ公演作品でもあり、サンモールスタジオ選定賞2015では最優秀脚本賞を受賞した舞台「川辺市子のために」。観客から熱い支持を受け、2度再演された人気の舞台だ。
川辺市子は、恋人の長谷川義則からプロポーズを受けた翌日に突然失踪。長谷川が行方を追い、これまで市子と関わりがあった人々から証言を得ていくと、彼女の底知れない人物像と、切なくも衝撃的な真実が次々と浮かび上がる。彼女が背負った過酷な宿命。名前を変え、年齢を偽り、社会から逃れるように生きてきた。なぜ、彼女はそのような人生を歩まなければならなかったのか?市子が、幸せな暮らしを自ら捨ててでも、手にしたかったものとは……。
杉咲は、痛ましいほどの過酷な家庭環境で育ちながらも「生き抜くこと」を諦めなかった川辺市子役。「精根尽き果てるまで心血を注いだことを忘れられません。その日々は猛烈な痛みを伴いながら、胸が燃えるほどあついあついものでした」と言い切るほどの熱量で役に挑んだ。
市子が3年間一緒に暮らしていた恋人の長谷川を演じるのは、若葉竜也。杉咲との共演も多く信頼関係を築いてきた若葉だからこそ、彼女の女優としてのリミッターをはずす重要な存在にもなったに違いない。そのほか、森永悠希、渡辺大知、宇野祥平、中村ゆり、倉悠貴、中田青渚、石川瑠華、大浦千佳が共演している。
ティザービジュアルは、市子が顔に手をかざし表情が見えないことから、彼女の心情、真の姿への想像をかきたてられる仕上がり。特報は、市子が失踪するまでの恋人・長谷川との幸せな日々を映し出す。そして「なぜ、彼女が自らこの暮らしを捨てなければならなかったのか」という疑問が生じていく。泣きじゃくる姿、「うちは市子や」と絞り出した台詞からも、その謎が垣間見える内容となっている。
「市子」は、12月8日からテアトル新宿、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開。コメントは以下の通り。
大人になった今振り返ると、少年時代には気づけなかった闇が近くにあったように思います。
本作は、1人の女の子である「川辺市子」を、彼女と関わった人達の証言から、その人生を浮かび上がらせました。
偽りが多い世の中で、いつの時代も確かな他者を見つけるのは困難です。
多くの他者から見える印象で一人の人間を見つめ、見えてきたものとどう向き合うか。
それが現実的な他者との距離であり、接点だと思っています。
彼女の取った行動や、彼女の境遇。それを見つめたこの映画を観て「市子」をどう感じて頂けるのか…
色んな感想を聞きたいです。そして、議論をして貰えたらこの上なく幸せです。
その大切な役を、杉咲花さんに託しました。杉咲さんにお渡しするのが僕の願いでした。
捉えようの難しい脚本の中に居る「市子」が、杉咲さんの圧倒的な感性とエネルギーによって可視化され、顕在化されていきました。
撮影現場のその興奮を忘れられません。
市子は、僕たちの生きる世界線の地続きに、確かに生きている。そう思うのです。
沢山の人に、確かなことが届くことを期待しています。
市子の、人生に関わった去年の夏。
撮影を共にした皆さまと、精根尽き果てるまで心血を注いだことを忘れられません。
その日々は猛烈な痛みを伴いながら、胸が燃えるほどあついあついものでした。
あなたやあなたのすぐ隣にいる人へ
この映画が届いてほしい。
彼女の息吹に手触りを感じられることを願っています。
この映画が寂しくて寂しくて頭がおかしくなりそうなひとりぼっちの誰かに届いてほしいです。
「本当にこれでよかったのか」「別の方法はなかったのか」登場人物たちにそんな思いを馳せながら、完成した作品を観させていただきました。撮影中も似たような自問自答を繰り返しながら演じていましたが、
自分のあり方において大切な時間だったと思っています。参加できて光栄でした。
この映画には、人間としてのささやかな幸せや「願い」を持つことすら困難で、どうにも行き場を失ってしまったひとたちの姿が切実に描かれています。
その熱量をぜひ劇場でご覧ください!
僕自身映画を観る時は事前情報がない真っ白な状態で観たいのですが、ただ一つ言うならば、杉咲さん演じる市子を見て、人間そのものがミステリーなんだと改めて気づかされました。
戸田監督と共に考え話している中で、この作品への熱い想いが自然と湧き上がりました。
完成した市子を観て、悲しみや孤独の中にいて、誰からも見つけてもらえない人へ、手が差し伸べられますようにと、この映画の中に願いました。
キキは自分の夢を持っていて前向きで、市子にとって希望となるような女性です。
私は数日間参加させていただきましたが、ひとつひとつのシーンをとても大切に丁寧に撮影している現場でした。
1人でも多くの人にこの作品が届くといいなと思っています。
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