松村北斗×吉瀬美智子×江口洋介の横顔が似ている？　アイナ・ジ・エンドは圧巻の生歌披露

岩井監督と小林武史（音楽）がタッグを組んだ本作で描かれるのは、別れと出会いを繰り返しながら、4人の人生が交差し、絡み合い、奏でる13年の物語。アイナが、歌うことでしか“声”を出せない住所不定の路上ミュージシャン・キリエを演じた。また劇中歌として6曲を制作し、劇中で圧巻のパフォーマンスも披露している。

「BiSH」解散後、初めての公の場となったアイナは「初めての経験で右も左もわからない中、岩井俊二さんや皆さんに助けてもらって、やっとやり切ることができたかなと思っています」と、撮影では周囲に大いに助けられたという。「音楽が大好きで、ロックンロール一辺倒みたいな人だったんですけれど、そんな私を岩井さんが見つけてくださって、拾ってくださって。これを夢で終わらせちゃいけないんだなと思った」と胸の内を吐露。「広瀬すずちゃんと松村北斗さんがいつも近くにいてくださったので、お芝居でリードしてもらって、なんとかやり遂げられたなと思っています。本当に素敵な経験をさせていただきました」と感謝を伝えた。

「初めて、映画が面白いものかもしれないと自分の中で気づいたのが、『リップヴァンウィンクルの花嫁』だった。そこから岩井さんの映画ばかり観ていた時代があった」というのが、姿を消したフィアンセを捜し続ける夏彦役を演じる松村で、「人生においてとんでもない思い出の一つ」と岩井組に参加して刺激的な日々を過ごしたと話す。夏彦の母親・真砂美役に扮した吉瀬は、「なぜ私がキャスティングされたんだろうと、ドキドキした。間違っていないかなと思った」と告白。「松村くんの母親役だと聞いて、ファンの方の『（松村と吉瀬に）親子役をやってほしい』というリクエストの書き込みを見たことがあったので、似ているのかなと。江口さんが（真砂美の）お兄さん役なんですが、横から見ると3人が似ているので、それが選ばれた理由なのかな」と予想した。

岩井監督は「それも一因」と認め、「親子関係をキャスティングするときは、『DNAが繋がっているな』ということを意識する」とにっこり。松村も「恐れ多いですが、言ってもらえることもある」と吉瀬に似ていると言われたことがあるそうで、さらに「『松村北斗は育成成功したら江口洋介さんになる』と言っていただけることが多い」とうれしそうに目尻を下げた。終始穏やかな笑顔でキャスト陣のトークに聞き入っていた岩井監督は、「丸1年くらい編集をやり続けていましたが、皆さんの表現力を毎日見ていても飽きることがない。皆さんの魅力だろうなと、しみじみと噛み締めてウルッときています」とすばらしい役者が顔をそろえたことに、改めて感激していた。

またステージでは、アイナが本作の主題歌「キリエ・憐れみの讃歌」をこの日のための特別バージョンで生歌唱する場面も。アコスティックバージョンで生歌を届けたアイナは、歌い終わると「良かった」と安堵の表情を見せた。歌を聴きながら「本編を思い出していた」という松村は、「この作品は、この歌声によって図太いシーンができているなと改めて思い出した」と惚れ惚れ。広瀬は「アイナちゃんは、お芝居も含めて、周りの環境や景色、温度も全部吸収して表現される方。現場の時とは違う、声と魂を見られてうれしかったです」と喜びを語っていた。

「キリエのうた」は10月13日から公開。