森達也監督、井浦新&田中麗奈主演で関東大震災後の虐殺事件描く「福田村事件」場面写真公開&書籍化決定
2023年6月28日 15:00
題材は、1923年9月1日に発生した関東大震災、その発災から5日後、千葉県福田村で起こった実際の虐殺事件。行商団9人が地震後の混乱の中で殺された。彼らはなぜ殺されたのか、村人たちはなぜ彼らを殺したのか――荒井晴彦が企画し、脚本は佐伯俊道、井上淳一、荒井の3名が担当。関東大震災時に各地で起きた「朝鮮人虐殺」、そして朝鮮人に限らず“善良な人々”が虐殺された日本の負の歴史をつまびらかにする。
主演の井浦新と田中麗奈に加え、永山瑛太、東出昌大、コムアイ、向里祐香、カトウシンスケ、松浦祐也、木竜麻生、杉田雷麟、ピエール瀧、水道橋博士、豊原功補、柄本明ら豪華俳優陣が顔を揃える。
澤田智一(井浦)は教師をしていた日本統治下の京城(現ソウル)を離れ、妻の静子(田中)と共に故郷の福田村に帰ってくる。智一は、日本軍が朝鮮で犯した虐殺事件の目撃者であった。しかし、妻の静子にもその事実を隠していた。同じころ、行商団一行が関東地方を目指して香川を出発する。9月1日に関東地方を襲った大地震、多くの人々はなす術もなく、流言飛語が飛び交う中で、大混乱に陥る。そして運命の9月6日、行商団の15人は次なる行商の地に向かうために利根川の渡し場に向かう。支配人と渡し守の小さな口論に端を発した行き違いが、興奮した村民の集団心理に火をつけ、阿鼻叫喚のなかで、後に歴史に葬られる大虐殺を引き起こしてしまう。
場面写真では、物語の中心となる2人、静けさと物憂げな表情が印象的な澤田智一(井浦新)と妻・静子(田中麗奈)の姿や、沼部新助(永山瑛太)率いる行商団の姿が映し出されている。その他にも、この度、初公開となる、コムアイ演じる島村咲江や柄本明演じる井草貞次ら、主要キャストの姿が確認できる。
また、2013年に出版され、本作が依拠した史科書籍でもある辻野弥生著「福田村事件」が、「福田村事件―関東大震災知られざる悲劇」と書名を新たに書籍化された。本著は、長きに渡るタブー事件を掘り起こした名著として評価されたものの、版元の廃業でこれまで絶版となっていたのだが、関東大震災100年の今年2023年、森達也監督の特別寄稿付き増補改訂版として、満を持して刊行された。9月1日からテアトル新宿、ユーロスペースほか全国公開。