「海街diary」まとめ キャスト、あらすじ、撮影現場秘話など一挙紹介
2023年6月3日 21:00
是枝裕和監督の最新作「怪物」の公開を記念し6月3日、フジテレビ系「土曜プレミアム」(一部地域を除く)で午後9時から、2015年に封切られた是枝監督作「海街diary」が放送されます。映画.comでは主要キャストの紹介から、あらすじ、撮影現場秘話などを一挙に紹介します。
・概要&あらすじ
・撮影現場秘話などトピックス
第11回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞やマンガ大賞2013を受賞した吉田秋生の人気コミックを実写映画化。湘南を舞台に、異母妹を迎えて4人となった姉妹の共同生活を通し、家族の絆を描く。
主人公の姉妹を演じるのは綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず。第68回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、第39回日本アカデミー賞では最優秀作品賞や最優秀監督賞など4冠に輝いた。
鎌倉に暮らす長女・幸、次女・佳乃、三女・千佳の香田家3姉妹のもとに、15年前に家を出ていった父の訃報が届く。葬儀に出席するため山形へ赴いた3人は、そこで異母妹となる14歳の少女すずと対面する。
父が亡くなり身寄りのいなくなってしまったすずだが、葬儀の場でも毅然と立ち振る舞い、そんな彼女の姿を見た幸は、すずに鎌倉で一緒に暮らそうと提案する。その申し出を受けたすずは、香田家の四女として鎌倉で新たな生活を始める。家族の増えた香田家が、本当の意味で姉妹に、家族になっていく1年を描いている。
是枝監督は、日ごろから気になったことをノートに書き留めていることで知られていますが、姉妹の“生態”についての引き出しはなかったと撮影現場で明かしています。
「今回は4姉妹の話ですから、家の中でどう過ごしているかって僕の中にもそんなにネタはなかったんです。ですから、3姉妹の方に3組くらい取材をしました。『どういう時にケンカをするの?』『お風呂の順番って決まっているの?』『シャンプーは共有なの?』などなど、いろいろ聞かせてもらいながら原作で描かれている生活感みたいなものを埋めていこうと思っていますし、それは脚本にも反映させています」
また、キャスト4人の現場での立ち居振る舞いも参考にしたようで、「4人が集まるとこんな風に畳に寝転がるんだとか、現場で見えてくるものもあるから、シーンを書き足したりもしている」と明かしてくれました。ただ、「原作は見事に4人を書き分けているんです。『なるほどなあ、千佳ってポワーンとしているんだけど、千佳がいることですずが家に導かれているのか…』って、昨日撮っていて感じましたしね。原作の吉田さんも、きちんと取材をされて書き込まれたのでしょうね」と語り、原作の吉田氏への敬意をにじませます。
15年の真夏、映画.comは鎌倉・極楽寺での撮影現場に取材に入りました。宣伝スタッフや他の記者との待ち合わせ場所は、江ノ電「極楽寺」駅の改札前。30分ほど早く着いてしまった筆者は、改札を出たところでコーヒーを飲みながら、ボーっと佇んでいました。
ちょうどそこに江ノ電が到着。何人かの乗客が下車し、改札を出てきました。そこで眠気が一気に吹き飛んだのは、四女・浅野すず役の広瀬がひとりで現れたのです。オーバーオールにリュックサックを背負い、バスケットボールシューズをはいた少女は軽快な足取りで出迎えの制作スタッフのもとへ駆け寄り、笑顔を浮かべながら極楽寺境内に入って行きました。その一連の動作が、本編に映り込んでいる“すず”そのものだったため、驚きを禁じ得ませんでした。映画記者として、時おり出合うことができる僥倖でした。
15年6月の公開から約20日後、劇中で四姉妹の大叔母を演じた樹木希林さんが、是枝監督とともに都内で行われたティーチインイベントに参加しました。
要所でピリッと味を出す役どころ同様、この日も“樹木節”がさく裂しました。四姉妹の末っ子を演じた広瀬について、「広瀬すずちゃんが浅野すずを演じる。(名前は)偶然ですよね? この子に出会ったというのが、この映画のポイントでしたね」と運命的なものを感じた様子した。
さらに樹木さんは、「大概『ああ……』っていう感じじゃないですか。映画って」と映画界のキャスティングをチクリと突くと、是枝監督は「そんなことないですよ(笑)」と、ひたすらフォローに回っていました。
また、今作を通して「家っていうのは女で土台が作られるんだなっていう気がした」と話し、「そういう意味では、あのお母さんに大竹しのぶさんをキャスティングしたのは大変に上手だなと思いました」と言及し、“毒”の効いたコメントに自ら笑い出してしまいました。
「存在しているだけで、『壊れていくな、この家庭は』と感じさせるものを演じていた」という称賛からの発言でしたが、是枝監督は「お芝居でね、お芝居で!」と、すかさずフォローしていました。
筆者が四姉妹に扮した女優陣にインタビューした際、口を揃えて「本当に穏やかな現場だった」と振り返っていました。「役者がいいと、監督は楽ですよ。4人が本当に良かった」と謙遜する是枝監督でしたが、そのなかで特筆すべき存在として挙げたのが綾瀬でした。
「あの現場はね、綾瀬さんの人柄ですよ。彼女がいかにいろんな人たちから愛されているかというのを、目の当たりにしました。お芝居も素晴らしかったけれど、とにかくみんなが綾瀬さんのことが大好きなんだよね」
「風吹ジュンさんが現場にいらした時も、『はるかちゃん!』と言って、撮影していない間はずっと綾瀬さんの手を握っているんですよ。親戚のおばちゃんみたいに(笑)。『この世界でこんなにいい子はいない』と言って、姪っ子を人にすすめる感じでしたね。あんな風に、他の女優さんから思われることってそんなにないんじゃないかなあ。堤真一さんもそうですし、他の役者さんたちも、綾瀬さんに会うのを楽しみに現場に来ていたんですよね」
撮影中のエピソード、公開タイミングのプロモーション期間に取材した内容が中心となりましたが、お楽しみいただけましたでしょうか。今夜の放送をより深く楽しむ一助となれば幸いです。
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