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永山瑛太&田中裕子ら教師陣による衝撃の“棒読み謝罪” 坂元裕二節の効いた会話劇をとらえた「怪物」本編映像

2023年6月1日 10:00

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安藤サクラ演じる母が、息子に暴力をふるったとされる担任教師に謝罪を求めるが…
安藤サクラ演じる母が、息子に暴力をふるったとされる担任教師に謝罪を求めるが…
(C)2023「怪物」製作委員会

第76回カンヌ国際映画祭で、脚本賞とクィア・パルム賞の2冠に輝いた「怪物」で、衝撃の“棒読み謝罪”をとらえた本編映像がお披露目。坂元裕二節の効いた独特の会話劇を垣間見ることができる。

本作では、第71回カンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドールを獲得した「万引き家族」の是枝裕和監督と、「花束みたいな恋をした」で知られる脚本家・坂元裕二が初めてタッグを組み、故坂本龍一さんが音楽を担当。安藤サクラ永山瑛太田中裕子ら実力派に加え、ふたりの少年をみずみずしくかつ情感豊かに演じた黒川想矢柊木陽太が共演。そのほか、高畑充希角田晃広(「東京03」)、中村獅童らが集結した。第76回カンヌ国際映画祭では、コンペティション部門の公式上映後、9分半ものスタンディングオベーションで称えられた。

物語の舞台は、大きな湖のある郊外の町。息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、そして無邪気な子どもたちが平穏な日常を送っている。そんなある日、学校でケンカが起きた。それは、よくある子ども同士のケンカに見えたが、彼らの食い違う主張は次第に大人、社会、メディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子どもたちが忽然と姿を消す。

脚本を務めた坂元は、「東京ラブストーリー」(1991)でトレンディドラマの旗手として脚光を浴びた。その後は作風を変化させながら、「Mother」(2010)、「anone」(18)といった社会派ヒューマンドラマから、「最高の離婚」(13)、「カルテット」(17)など大人のラブコメまで、ひとつのジャンルにおさまらない唯一無二の世界観を生み出し、ドラマファンからの絶大な人気を誇っている。第76回カンヌ国際映画祭で、自身初の脚本賞を獲得した本作でも、その独特な会話劇、数々の名セリフ、遊びのあるやりとりなど、坂元らしさが随所で光っている。

画像2(C)2023「怪物」製作委員会

本編映像は、息子の湊(黒川)が担任教師の保利(永山)から暴力を受けていることを疑ったシングルマザーの早織(安藤)が、学校へ説明を求めに行くシーン。校長室に案内された彼女の前に、ぞろぞろと教師陣が入室する。校長の伏見(田中)に促され、保利はボソボソとしたぎこちない口調かつ釈然としない態度で謝罪を述べ始め、早織に頭を下げる。すると周りの教師陣もタイミングを見計らったかのように一斉に立ち上がり、謝罪。あまりにもその場しのぎといった雰囲気の学校側の対応に、早織は不信感をあらわにするも、校長は「指導が適切に伝わらなかったものと考えております」と回答し、その後もまるで心がこもっていない弁明を繰り返す。シリアスな場面でありながら、教師たちの不自然な言動や仕草が滑稽にも見える、坂元ならではのエッセンスがちりばめられたシーンとなった。

坂元の脚本執筆とキャスティングは、並行して行われたという。配役が決定することで、脚本のキャラクターが膨らみ、物語がますますクリアになっていく過程を目の当たりにした是枝監督は、「こうやって坂元さんは本を固めていくんだな」と感心したそう。また、自身の脚本と坂元による脚本の違いについて、「今回は構造も含めて、非常にしっかりとした物語ですよね。僕が普段書くものは“スライス・オブ・ライフ”なんです。日常を切り取り、描写して、その前後を想像させるようなものが多いから、それはたぶん物語ではない。今回も描写の力で持たせているシーンは多少あるけど、基本的に言えば劇映画だと思います。物語のラインが非常に強くて、太いんじゃないでしょうか」と、明かしている。

怪物」は、6月2日に全国公開。

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