池松壮亮、ヒットすれば「シン・せかいのおきく」も? 阪本順治監督の皮算用に苦笑い
2023年4月29日 16:10
江戸時代末期を舞台にした時代劇「せかいのおきく」の公開記念舞台挨拶が4月29日、東京・TOHOシネマズ日本橋で行われ、主演の黒木華をはじめ、共演する寛一郎、池松壮亮、眞木蔵人、阪本順治監督が登壇した。
第52回ロッテルダム国際映画祭でのワールドプレミアを皮切りに、すでに6つの海外映画祭出品が決まっており、阪本監督は「世界の『せかいのおきく』になるわけですよね。3年がかりで撮影し、まずはエンドマークをつけるまでが目標だったが、世界の人たちに見てもらえることは、製作当初は想像していなかった」と喜びの声。「人間の営みは世界共通ですから、同じように受け止められるのでは」と期待を寄せていた。
ヒロイン役の黒木は、ロッテルダムでの反応を受け「ラブとホープが詰まった作品という声をいただいたと聞き、それはすてきな表現をしてくれたなと。(国を超えて)伝わるんだなと感じている」と本作が問いかける普遍性に言及。池松も「これからの社会に必要な問いと提案がある、意義深い作品」だと語り、「阪本さんが、ヒットすれば『シン・せかいのおきく』ができると話していた」と、自身の主演作「シン・仮面ライダー」にからめた皮算用に、苦笑いを見せていた。
厳しい現実にくじけそうになりながら、心を通わせることを諦めない若者たちの姿を、墨絵のように美しいモノクロ映像で描き出す本作。寛一郎は「普段見ている景色から、色という情報が消えると、感じ取れるものも多くなる」と魅力を語った。また、池松はモノクロ映画への出演が「夢だった」と明かし、「世界で見直されている、技法としてのモノクロ映画に、日本ももっとトライすべき」と話していた。
また、阪本組の常連で、寺の住職を演じた眞木は「黒木さんがすばらしく、存在感がでかい女優さんなので、緊張したが、ハッタリを利かせた」と振り返っていた。
武家育ちである22歳のおきく(黒木)は、現在は寺子屋で子どもたちに読み書きを教えながら、父と2人で貧乏長屋に暮らしていた。ある雨の日、彼女は厠のひさしの下で雨宿りをしていた紙屑拾いの中次(寛一郎)と下肥買いの矢亮(池松)と出会う。つらい人生を懸命に生きる3人は次第に心を通わせていくが、おきくはある悲惨な事件に巻き込まれ、喉を切られて声を失ってしまう。佐藤浩市が、おきくの父・源兵衛を演じている。
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