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「モロッコ、彼女たちの朝」監督最新作「青いカフタンの仕立て屋」6月16日公開 伝統衣装工房の夫婦愛描く

2023年4月19日 08:00

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伝統衣装工房の夫婦愛を描く
伝統衣装工房の夫婦愛を描く
(C)Les Films du Nouveau Monde Ali n’ Productions Velvet Films Snowglobe

2021年、モロッコの劇映画として初めて日本公開された「モロッコ、彼女たちの朝」のマリヤム・トゥザニ監督の最新作で、2022年カンヌ国際映画祭国際映画批評家連盟賞を受賞した「THE BLUE CAFTAN(英題)」が、「青いカフタンの仕立て屋」の邦題で6月16日公開される。あわせて、場面写真11点が披露された。

前作「モロッコ、彼女たちの朝」で、異国情緒あふれるパン屋を舞台に、心に孤独を抱えた2人の女性の連帯と希望を描いたトゥザニ監督。最新作で描いたのは、カフタンドレスの仕立て屋を営む夫婦の物語。カフタンドレスとは、結婚式や宗教行事などフォーマルな席に欠かせないモロッコの伝統衣装で、母から娘へと世代を超えて受け継がれる、日本で言うところの着物のようなもの。

伝統を守る仕事を愛しながら自分自身は伝統からはじかれた存在と苦悩し真の自分を隠して生きるハリムとその妻のミナが本作の主人公だ。職人気質の夫を誰よりも理解し支えてきたミナは、病に侵され余命わずか。そこに若い職人のユーセフが現れ、3人は青いカフタン作りを通じて絆を深めていく。そして刻一刻とミナの最期の時が迫るなか、夫婦は“ある決断”をする。彼らが導き出した答えに思わず涙があふれ出す、感動の物語だ。

また、コーランが響く旧市街、新鮮なタンジェリンが並ぶ市場や大衆浴場(ハマム)、男たちがミントティーを楽しむカフェといったモロッコの日常も映し出され、さらに伝統を守る仕立て職人の指先にレンズを向け、色とりどりの滑らかなシルク地に刺繍する繊細な手仕事をクローズアップ。一針、一針、想いを込めながらドレスを紡いでいく、モロッコの伝統工芸の美しさを伝える。

ミナを演じるのは「モロッコ、彼女たちの朝」(19)で、最愛の夫の死に沈むアブラを演じたルブナ・アザバル。死期迫るミナを体現するために過酷なダイエットを行い、最期の瞬間まで夫に愛と勇気を捧げる妻を熱演する。ミナとの別れを受けとめきれずに立ちすくむカフタン職人のハリムには、「迷子の警察楽隊」(07)のサーレフ・バクリ。内なる情熱と本心を隠す悲しみを、吸い込まれるような瞳で訴えかける。複雑な夫婦の愛にさざ波を起こす若い弟子のユーセフには、本作が映画初出演のアイユーブ・ミシウィが演じている。

トゥザニ監督は本作について「愛する人にありのままの自分を受け入れてもらう 。人生においてこれほど美しいことがあるだろうか」とコメントを寄せている。ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開。

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