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M・ナイト・シャマラン監督の映画人生における“究極の選択”は?【「ノック 終末の訪問者」インタビュー】

2023年4月7日 16:00

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M・ナイト・シャマラン監督
M・ナイト・シャマラン監督
(C)2022 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

シックス・センス」(99)や「オールド」(21)などで知られるスリラー映画の名手M・ナイト・シャマラン監督の最新作「ノック 終末の訪問者」が、4月7日から公開された。世界の終末と家族の命を天秤にかけた、非情な決断を迫られる一家の危機を描く。オンライン取材に応じたシャマラン監督に、本作の話を聞いた。

画像2(C)2022 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.
【あらすじ】
同性カップルであるエリックとアンドリュー、そして養女のウェンの家族が山小屋で穏やかな休日を過ごしていると、突如として武装した見知らぬ謎の男女4人が訪れ、家族は訳も分からぬまま囚われの身となってしまう。そして謎の男女たちは家族に、「いつの世も選ばれた家族が決断を迫られた」「家族のうちの誰か1人が犠牲になることで世界の終末を止めることができる」「拒絶することは何十万もの命を奪うことになる」と告げ、エリックとアンドリューらに想像を絶する選択を迫ってくる。テレビでは世界各国で起こり始めた甚大な災害が報じられるが、訪問者の言うことをにわかに信じることができない家族は、なんとか山小屋からの脱出を試みるが……。
画像3(C)2022 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

原作はポール・トレンブレイ氏の小説「終末の訪問者」。映画では後半パートが原作と異なり、トレンブレイ氏からは自身も最初は同じ展開を考えていたと言われたという。

「ストーリーを変えたとポールに話したら、『僕も最初こういう風に考えていた』って言われて、すごく嬉しかった。結末を変更したのは、僕の個人的な意見ですが、あそこまで世界の終末がかかっているときに、キャラクターがそれに値する行動をしないのは間違いだと思ったんです。最後にある選択をしないといけない場合、それに対する結果がドラマには必要なんです」

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シックス・センス」をはじめ、衝撃的な結末が話題を呼ぶ作品を次々と発表してきたシャマラン監督。作品には、そのときの自身の“考え”も込められているという。

「今回の場合は、人類は進化してきたけれど今の我々の姿は正しいのか、間違っているのかということです。僕は、人間誰もがストーリーを語るものだと思っています。今はいろんな人たちのストーリーがぶつかって衝突している状況で、一つの世界で同じ物語を語ることができないと、究極的には人類も惑星も破滅してしまうと思います。作品と同じように、時限爆弾がかけられているような状態。僕は映画の中のキャラクターと同じように“父親”でもあるし、人類はその爆発に間に合うよう一つにまとまることができるのかということを考えています」

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本作で謎の訪問者を演じたデイブ・バウティスタ(「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズ)、ルパート・グリント(「ハリー・ポッター」シリーズ)らのほか、カップルを演じたベン・オルドリッジジョナサン・グロフなどキャストたちの共演も見どころの一つ。なかでも、カップルの養女・ウェンを演じたクリステン・ツイは、映画初出演とは思えない輝きを放っている。

「ウェン役のオーディションでたくさんの人に会いましたが、この人しかいないという感じでした。彼女は人間として素敵な意味で変わっていて、頭が良くて、リーダー気質。彼女の家は彼女が仕切っているそうです(笑)。いたずら心もある。この世界を見ているときに、どこかガラス越しに見ているような感じもします。関わりたいときに一歩出てきてくれるようなところもすごくいい。演技は初めてだったので、そのユニークな色彩を失わないよう指導するのは大変でしたが、とても素晴らしかったです。実際にパパ役の2人ととても仲が良くて、現場でもずっと一緒にいました。オフの日にはフィギュアスケートに行ったほか、ダンスパーティーをしたみたいです」

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最後に、作品のテーマにちなんで、シャマラン監督の映画人生において“究極の選択”があったかを聞いてみた。少し考えてから、「映画監督になろうと思った時、ロサンゼルスに行かなかったこと」だと振り返った。

「ロスに行かなかったことでより道が険しくなりましたが、もともと自分は移民だしインド系で、当時は同じようなルーツを持つ監督で大衆にうけるような映画を作るタイプはほかにいなかったので、ユニークな視点は昔から持てていたと思います。ロスから離れた場所で映画を作り続けることは、ユニークな作品を作る僕の利点にもなりました。作品が成功して、いい作品を作ることができた歴史があるからこそ、今もリスクを恐れず作る勇気を持たないといけないです」

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ここまで話してから、ふっと笑い「でも、作品を撮るごとにどんどんつらくなっていくんです。ただ流れるままに好きな映画を作ってみたいと思うこともあります」と本音をこぼしていた。

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