黒柳徹子「窓ぎわのトットちゃん」アニメで初映画化! 黒柳への直接オファーで実現
2023年3月20日 04:00
黒柳徹子の「窓ぎわのトットちゃん」が初めて映画化され、アニメーション映画として2023年冬の公開を目指して製作中であることが発表された。あわせて、トットちゃんを描いたスーパーティザービジュアルも披露されている。
「映画ドラえもん」シリーズの八鍬新之介が監督・脚本、「映画ドラえもん」シリーズ、「劇場版ポケットモンスター みんなの物語」の金子志津枝がキャラクターデザインを務め、アニメ「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」で知られるシンエイ動画がアニメーション制作を担当する。
「窓ぎわのトットちゃん」は、第二次世界大戦が終わる少し前の激動の時代を背景に、黒柳の子ども時代を綴った自伝的物語。1981年に発売され、日本で800万部、20以上の言語で翻訳され2500万部を突破する世界的ベストセラー作品だ。表紙絵・挿絵にはいわさきちひろの作品が使用され、第5回路傍の石文学賞、ポーランドの文学賞・ヤヌシュ・コルチャック賞を受賞している。
物語の主人公は、何事にも好奇心旺盛でお話好きな小学1年生のトットちゃん。落ち着きがないことを理由に通っていた小学校を退学になり、東京の自由が丘に実在したトモエ学園に転校するところから物語がはじまる。強烈なトットちゃんの個性とおちゃめな日常生活、子どもの自主性を重んじる教育を掲げたトモエ学園のユニークな校風、恩師となる小林先生や友人たちとの出会いに、誰もが「こんな学校に通ってみたかった」と思わずにはいられないエピソードが描かれている。
これまで数々の映画化オファーが届くも、「読者の頭の中にあるイメージを壊したくない」という黒柳の考えもあり、映画、テレビドラマ、アニメなどすべての分野において映像化が実現することは一度もなかったが、原作にほれこんだ八鍬監督が、アニメでの映画化を黒柳本人に直接オファー。当初は黒柳に戸惑いがあったものの、イメージボードを手に何度も黒柳のもとを訪れ説得を重ねた八鍬監督の熱意が届き、「アニメであれば原作を愛するファンの方々も喜んでくれるかもしれない」と快諾。原作出版から40年の月日を経て映画化が実現した。
「映画 窓ぎわのトットちゃん」は23年冬に全国で公開。原作者の黒柳、八鍬監督からのコメント全文は以下のとおり。
1981年に「窓ぎわのトットちゃん」を書いたあと、ものすごくたくさんの映画監督から映画にしたいと依頼がありました。よく冗談で言っているのですが、あの黒澤明監督以外のほとんど全ての映画監督から、ありがたいことにお手紙をいただいたのを今でも覚えています。ただし、本を読んでくれた皆さんの頭の中にある映像の方が良いものなんじゃないか? と思って全てお断りしてきました。そうしたら今度はアニメーションでどうですか? という話で…笑。それであれば若い方々がご覧になっても楽しめるかもしれないと思いました。今でも本屋に行って置いてあると聞くと嬉しくなりますし、本を読んだ子どもたちの感想を聞くのが楽しみです。最近は世界情勢がいろいろ変わってきているので、この映画を観た若い世代の皆さんに「面白かった!」と思ってもらえるといいなと思います。
映画化を企画したのは2016年。シリアでは化学兵器によって子どもたちの命が、国内では相模原の障がい者施設で多くの命が奪われました。そのような暗い出来事に触れる中で、アニメーションを通して社会に貢献できることはないだろうかと考えるようになりました。そんな時に出会ったのが「窓ぎわのトットちゃん」です。そこには「生と死」「戦争と平和」「思いやりと差別」など、相反するテーマが雄弁に語られていました。それも、世界中の誰もが理解することができる瑞々しい子どもの言葉で。この瑞々しさをそのまま映像化して世界中に届けることができたなら、今よりほんの少しだけ社会が明るい方向に進むかもしれません。どうぞお楽しみに。
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