映画.comでできることを探す
作品を探す
映画館・スケジュールを探す
最新のニュースを見る
ランキングを見る
映画の知識を深める
映画レビューを見る
プレゼントに応募する
最新のアニメ情報をチェック

フォローして最新情報を受け取ろう

検索

スティーブ・ジョブズによって滅ぼされた、カナダの携帯電話メーカーの映画 SXSW2023より【映画.com編集長コラム】

2023年3月18日 14:00

リンクをコピーしました。
SXSWアーチ
SXSWアーチ

3年ぶりに、テキサス州オースティンにやって来ました。SXSW(サウスバイサウスウエスト)に参加するためです。コロナ禍でのキャンセルやオンライン開催へのシフトを経て、ようやく平常開催に戻った感が確認できました。ダウンタウンにはBIRDやLIMEなど、電動キックボードのライダーが走り回っているし、目抜き通りの6thは相変わらずの賑わいを見せています。

さて、2022年のSXSW映画祭のオープニングだった「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」が、オスカー7冠ゲットした直後ということもあって、SXSWは非常に誇らしげです。ミシェル・ヨーがフィーチャーされたニュースロールとか、あの目玉のアイコンがフィーチャーされたオブジェとか、あちこちで「エブエブ」を祝福するムードが漂っています。

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」に登場する“目玉”アイコン
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」に登場する“目玉”アイコン

今回、最初に突撃した上映は「ブラックベリー」という映画です。ブラックベリーはスマートフォンの走りですね。日本ではあんまり使っている人がいませんでした。これ、ドキュメンタリーかと思ったら、実話をもとにした劇映画。これが非常に面白かった。

カナダで、オタクのお兄ちゃんたち(映画好き!)がベンチャー起業を立ち上げ、通信関連のデバイスを生産していたが、事業が停滞し、資金繰りが苦しくなる。

彼らの製品に目をつけた企業の役員が、「数万ドル出資する。その代わりオレをCEOにするのが条件だ」と持ちかける。

新しいCEOの元でスマートフォン「ブラックベリー」を開発したところ、これが北米で大当たり。

ブラックベリーはバカ売れし、会社(RIM リサーチ・イン・モーション)は大繁盛。

アップルがiPhoneを発表し、ブラックベリーは一気に窮地に追い込まれる。

以上がざっくりのストーリーですが、ブラックベリーについては、私も2000年代初頭に購入を真剣に考えたものの見送った過去がありました。日本語に対応してなかったのが買わなかった要因ですが、当時はめちゃめちゃ気になるガジェットでしたよね。オバマ大統領も使うほど人気になっていました。

日本でブラックベリーを使っていたのは、おもに外資系企業の社員でした。映画業界でも、外資系の配給会社で本国とやりとりするポジションの人たちは、ほぼ全員ブラックベリーを使っていました。もちろん、国内のコミュニケーション用にガラケーも持っています。

結局、その後登場したiPhoneが携帯電話業界にもの凄いレベルのディスラプションをもたらして、業界の構造を変えてしまったのは説明の必要もないでしょう。2007年~2010年あたりの携帯電話業界の栄枯盛衰を象徴する映画です。

上映後のティーチイン。真ん中がマット・ジョンソン監督
上映後のティーチイン。真ん中がマット・ジョンソン監督

私は、この会社(RIM)のことは全く知らなかったので、そのサクセスストーリーはなかなか新鮮でした。オタクなエンジニアが2人で作ったなあなあ系スタートアップですが、外からきたオラオラ系のCEOがちゃんとした会社経営を叩き込んで、虎の子のプロダクト、ブラックベリーでとてつもないブレークスルーを導きます。これが、シリコンバレーじゃなくて、カナダのオンタリオ州の小さな町から始まったというところが痛快であり、共感も人一倍。

しかしスティーブ・ジョブズによる、2007年のiPhone発表プレゼンテーションが、ブラックベリーの快進撃から当事者たちを奈落の底に突き落とします。その伝説的なプレゼンのフッテージもたっぷり使用されていて、「そうそう、これ繰り返し何回も見たやつだ」って懐かしくなりました。私たちが感じたiPhoneへのワクワク感と高揚感の裏で、激しい衝撃と焦燥と絶望に見舞われた人々がいたという事実を、今さらながらに追体験できました。

この映画が日本で劇場公開されるかは微妙だと思います。しかし、どこかの配信プラットフォームがピックアップすれば、日本でも見られるようになるかも知れません。しばらく、本作の動向を追いかけてみようと思います。

(駒井尚文)

フォトギャラリー

ミシェル・ヨー の関連作を観る


Amazonで関連商品を見る

関連ニュース

映画.com注目特集をチェック

“ベスト主演映画”TOP5を発表!の注目特集 注目特集

“ベスト主演映画”TOP5を発表! NEW

【出演123本の中から、1位はどの作品?】そして最新作は、生きる力をくれる“集大成的一作”

提供:キノフィルムズ

ワン・バトル・アフター・アナザーの注目特集 注目特集

ワン・バトル・アフター・アナザー NEW

【個人的・下半期で最も観たい映画を実際に観たら…】期待ぶち抜けの異常な面白さでとんでもなかった

提供:ワーナー・ブラザース映画

96%高評価の“前代未聞の心理戦”の注目特集 注目特集

96%高評価の“前代未聞の心理戦”

【スパイによる究極のスパイ狩り】目を逸らせない超一級サスペンス

提供:パルコ

映画.com編集長が推したい一本の注目特集 注目特集

映画.com編集長が推したい一本

【ただの映画ではない…】むしろ“最前列”で観るべき奇跡体験!この伝説を人生に刻め!

提供:ポニーキャニオン

酸素残量はわずか10分、生存確率0%…の注目特集 注目特集

酸素残量はわずか10分、生存確率0%…

【“地球で最も危険な仕事”の驚がくの実話】SNSで話題、極限状況を描いた超高評価作

提供:キノフィルムズ

めちゃくちゃ笑って、すっげぇ楽しかった超刺激作の注目特集 注目特集

めちゃくちゃ笑って、すっげぇ楽しかった超刺激作

【これ良かった】激チャラ大学生が襲いかかってきて、なぜか勝手に死んでいきます(涙)

提供:ライツキューブ

なんだこのかっこいい映画は…!?の注目特集 注目特集

なんだこのかっこいい映画は…!?

「マトリックス」「アバター」など数々の傑作は、このシリーズがなければ生まれなかった――

提供:ディズニー

宝島の注目特集 注目特集

宝島

【超異例の「宝島」現象】こんなにも早く、心の底から“観てほしい”と感じた映画は初めてかもしれない。

提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

関連コンテンツをチェック

おすすめ情報

映画.com注目特集 10月4日更新

映画ニュースアクセスランキング