目黒蓮、期待以上の演技でさらなる飛躍 「わたしの幸せな結婚」ヒットの行方は?【コラム/細野真宏の試写室日記】
2023年3月18日 07:00

映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)(文/細野真宏)
今週末3月17日(金)から、目黒蓮×今田美桜の「わたしの幸せな結婚」が公開されます。
本作は、「タイトルと内容のギャップが大きな作品」となっています。
タイトルやメイン写真だけを見ると、割と落ち着いたテイストの純愛映画のように思えます。しかし実際には、かなり盛りだくさんの作品なのです!
そのため、このギャップがどのように伝わるのかでヒットするのかが大きく分かれるでしょう。
時代背景は「鬼滅の刃」と同じ大正時代あたりで、「異能者」という特別な能力を持つ人たちが描かれる「ファンタジー映画」です。
大まかな物語を説明しましょう。
斎森美世(今田美桜)が、「異能者」の家系である斎森家の長女でありながら「異能」を持たないため使用人のような扱いを受けています。
そんな美世(みよ)が、「異能」を持つ名家の当主で陸軍の隊長・久堂清霞(目黒蓮)のもとに嫁ぐことになる、というのが軸にあります。
このようにベースは、美世と清霞(きよか)の「ラブストーリー映画」です。
ただ、「異能者」という設定から想像できるように、特別な能力を使う「アクション映画」にもなっています。

本作で注目すべきは、何と言っても映画単独初主演となる「Snow Man」の目黒蓮の演技と存在感でしょう。
フジテレビ系列の「silent」(2022年10月6日~12月22日)で大ブレイクし、「Snow Man」の人気も相まって、存在感がかなり高まっています。
そして、本作でも期待以上の演技をし、さらなる飛躍を見せているのです!
この「実写化が非常に困難な作品」を見事に仕上げたのは、「コーヒーが冷めないうちに」(2018年)で映画監督デビューを果たしたTBSスパークルの塚原あゆ子。本作が監督第2作目の作品です。
「コーヒーが冷めないうちに」が象徴的ですが、塚原あゆ子監督作品は、「見てみないと良さが伝わりにくい作品」というのが特徴としてあるのかもしれません。
「コーヒーが冷めないうちに」は、割とシンプルな作品でしたが、「泣ける映画」という口コミが広がり、合格点の興行収入10億円を超えて最終的には興行収入15億円にまで伸びました。

同様に、本作でも口コミがどのように広がるのかが大きな勝負になると思われます。
本作では、一つ一つのシーンが丁寧に演出されていて独自性のある「和風ファンタジー」の世界観を描き出しています。
この「和風ファンタジー」の世界観を描き出すには、CGも大きな位置付けを占めますが、初めての大作とは思えない出来栄えでした。
今田美桜の演技も存在感があり「美世」という難しい役柄を見事に演じ切っていました。

意外と設定が入り組んでいる上に丁寧に描いているため、115分という尺で描くのには限界があるのも確かです。
本作は、ヒットすれば続編は必ずあると思います。
そして、世界観が大きい分、そのヒットは興行収入20億円というのがラインとなるのかもしれません。

果たして本作は、興行収入20億円を突破して無事に続編ができるのでしょうか?
カギを握るのは、やはり「Snow Man」だと感じています。
目黒蓮の映画単独初主演の実現にも「Snow Man」の存在が背景にあると思いますし、本作のために書き下ろされた「Snow Man」の主題歌「タペストリー」も援護しています。
連ドラ「silent」によって目黒蓮のファンは急増していてベストなタイミングだと思いますが、「Snow Man」のファンは単独に加えてグループ全体のファンである「箱推し」が多いと聞きます。
理由は「Snow Man」というグループ全体の雰囲気がとても良く、「推し」がいてもグループ全体のファンが多いということですが、これは納得できます。
留まることを知らない「Snow Man」の勢いの象徴的な作品となるのか、目黒蓮の映画単独初主演作品の結果に大いに注目したいと思います!
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