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【第73回ベルリン国際映画祭】ショーン・ペン、ゼレンスキー大統領との対談語る オスカー像をひとつ預けたとも

2023年2月21日 13:00

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「Superpower」の一場面
「Superpower」の一場面
(C) 2022. THE PEOPLE’S SERVANT, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

2月16日から開催中のベルリン国際映画祭で、ショーン・ペンアーロン・カウフマンの共同監督によるドキュメンタリー、「Superpower」が上映され、両監督が記者会見に臨んだ。

本作はロシアがウクライナに侵攻を始める以前の2021年から彼らが撮影を開始していたもので、当初はもともとコメディ俳優だったボロディミル・ゼレンスキーの、大統領になるまでのキャリアを追ったポートレートになるはずだった。だが、ちょうど彼らがキエフを訪れている最中に侵攻が始まり、リアルに攻撃を目の当たりにしたことで、結果的に指導者としてのゼレンスキー大統領とウクライナの状況を映し出す作品になったという。

「キラー・タコス」(ペンいわく“最高のタコスの店だ”)と書かれた迷彩模様のキャップを被って記者会見場に現れたペンは、おそらくこれまで俳優として受けたどんなインタビューよりも饒舌に、記者からの質問に答えた。

「Superpower」プレミア
「Superpower」プレミア
(C)Alexander Janetzko Berlinale 2023

ゼレンスキー大統領と対談した印象について、「最初に僕らが彼に生で対面したとき、彼は大統領室でスーツを着て迎えてくれた。だが僕らがインタビューからホテルに戻ったその夜、爆撃が始まった。次に彼に会ったとき、彼は別の場所で、迷彩服を着て現れた。うまく言えないが、彼の姿勢には、これまで誰も対面したことのない状況に対応する、確固とした決意のようなものが感じられた」と語った。さらに、「これは真実の物語だ」と語り、「ゼレンスキー大統領と彼の家族のことが心配で、毎日思っている。最後に会ったときは、もう会えないのではないかとたまらない気持ちになった。アメリカは一刻も早くウクライナに武器を援助するべきだ」と訴えた。

もし機会に恵まれたらプーチンと対談するか?と訊かれると、「しない。彼のおこなっている非道は明らかで、彼は侵攻をやめなければならない。自分の立場(ウクライナ支援)は明確で、公正を保つというような問題ではない」ときっぱりと答えた。

さらに自分が持っている2つのオスカー像の1つをゼレンスキーに預け、「戦争に勝ったら、マリブに持ってきてくれ」と伝えたことを明かした。

画像3(C) Chris Pizzello 2020 Invision

また、政治家になるつもりはないか?とある記者が尋ねると、「ない。自分は1つの顔しか持っていない(嘘がつけない)からね」と答え、それまでのこわばった表情に、ようやく笑顔が浮かんだ。

ドキュメンタリーでは、ペンがロサンゼルスからオンラインで初めてゼレンスキー大統領と会話を交わし、その後キエフを訪れ、ゼレンスキー大統領に再会する様子とともに、刻一刻と街が破壊されていく状況や、いっときは混乱のなかで撮影スタッフがポーランドの国境へ移動する様子、ペン自身がリポーターとなってウクライナの人々に取材する様などが盛り込まれている。生々しい戦争の傷跡のなかで、ウクライナの人々の連帯の強さが浮き彫りになるとともに、まるで何かに突き動かされるように行動するペンの様子が、強く印象に残る。(佐藤久理子)

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