脚本家・大江崇允「100年後の観客に残していいものかどうか」 世界配信に値する普遍性の追求【メイキング・オブ・ガンニバル 連載第3弾】
2023年1月3日 18:00

ディズニープラス「スター」と、日本映画の第一線で活躍する気鋭クリエイター&キャストがタッグを組んだ衝撃のサイコスリラー「ガンニバル」が配信中だ。全世界に発信する実写ドラマの大作シリーズという画期的なプロジェクトは、いかに実現したのか。その全ぼうを関係者の言葉から紐解いていく。映画.com独占連載第3弾に登場するのは、脚本家の大江崇允だ。
2018年に連載が開始され、累計発行部数210万部を超える二宮正明氏による同名コミックを実写ドラマ化。都会から遠く離れた山間にある「供花村」を舞台に、ある事件をきっかけに供花村の駐在として左遷された阿川大悟(柳楽優弥)が、老婆の奇妙な死を境に、「人が喰われているらしい」と噂される村の異常性に飲みこまれていく。

濱口竜介監督と共同で脚本を担当した「ドライブ・マイ・カー」で、第74回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞し、第94回アカデミー賞の脚色賞にノミネートされた大江。原作コミックを手に取り「めちゃくちゃ面白く感じた」と絶賛すると同時に、ドラマシリーズの脚本を執筆することには不安もあったといい、「途中から自分の未熟さしか見えなくなったほどです」と、原作の放つパワーに圧倒されたと振り返る。
「二宮正明さんの見せ方の面白さたるや、もう天才が作ったとしか思えないわけです。脚本上、どうやっても残せないところも出てきて、さてさてどうしたものかと。片山さん(片山慎三監督)やプロデューサーと顔をつき合わせ、『このエピソードをここにしたらいいんじゃないか』とか『このエピソードとこのエピソードを入れ替えてみようか』とか、みんなでパズルをやったという印象です」

その上で「ガンニバル」の魅力は、「あまりにも壮大な普遍性を謳っている」点だという。小さな村で起きる事件がやがて、村に住む人間たちの闇をあぶり出し、想像を超える展開へと観客を誘っていく本作は「ある種の強い愛情が、結果的に戦争を生む物語」であり、「愛情は時として、いい方向に作用しないことがある。言い換えると“人の業”ですね。そういうことを描いているような気がしましたし、そこが僕にはとても魅力的に感じられました」と、表面的なスリラーに留まらない、作品の奥行きに舌を巻く。
さらに、不穏な空気に覆われたいまの世相とのリンクも指摘し、「いまの僕には『いまの時代、怖いな。冷静じゃないな』という感じがずっとあって、自分も含めて、みんな気持ちがいっぱいいっぱいじゃないですか。この『ガンニバル』にも冷静な人は出てきません。それぞれに愛するもの、守るべき大義みたいなものがあって、それが価値観の隔たりを生んでぶつかってしまう。答えのない問題なんです」と鋭く分析。「そういう意味で、ご覧になる視聴者の方にも、ザワッとなっていただければいいなと思うんです」と、期待を寄せる。

そんな大江が意義ある作品づくりを目指す上で、重要な指針にしているのが「100年後の観客に残していいものかどうか」というポイントだ。「ある種の普遍性の獲得と言っていいのかもしれません。それができればいいなと考えながら、いつも創作をやっている感じです」と語り、本作をまさに、100年後に残すべき普遍性を追求し続けることで完成させる作品だと位置づける。
それだけに「ガンニバル」に込められたメッセージの普遍性は、世界配信に値する意味と価値がある。大江は「“世界”という尺度にはならないかもしれませんが、『ガンニバル』が息の長い作品になっていくといいなって思うんです。いま、この瞬間だけで消費されて、終わってしまわないような作品になってほしい」と願いを込め、「仮にいま、少ない視聴者しかつかめなかったとしても、それが100年経てば、積もり積もってとてつもない数になる。そうなれば、いま、この時代にだけ愛されて終わった作品よりも、優れた結果が残せるんじゃないか、勝てるんじゃないかって。そういうことはいつも考えていますね」と思いを吐露する。

「100年後の観客に残していいものかどうか」という思いとともに、歪んだ正義感と価値観が争いを生む現代社会の縮図を、圧倒的なエンタテインメントに昇華させた「ガンニバル」がその先の未来まで、多くの観客の心に残ることは間違いないはずだ。
「ガンニバル」(全7話)は、初回2話がディズニープラスで配信中。毎週水曜午後5時に、最新話が更新される。
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