映画.comでできることを探す
作品を探す
映画館・スケジュールを探す
最新のニュースを見る
ランキングを見る
映画の知識を深める
映画レビューを見る
プレゼントに応募する
最新のアニメ情報をチェック
その他情報をチェック

フォローして最新情報を受け取ろう

検索

脚本家・大江崇允「100年後の観客に残していいものかどうか」 世界配信に値する普遍性の追求【メイキング・オブ・ガンニバル 連載第3弾】

2023年1月3日 18:00

リンクをコピーしました。
「ドライブ・マイ・カー」大江崇允「ある種の強い愛情が、結果的に戦争を生む物語」
「ドライブ・マイ・カー」大江崇允「ある種の強い愛情が、結果的に戦争を生む物語」
(C)2022 Disney

ディズニープラス「スター」と、日本映画の第一線で活躍する気鋭クリエイター&キャストがタッグを組んだ衝撃のサイコスリラー「ガンニバル」が配信中だ。全世界に発信する実写ドラマの大作シリーズという画期的なプロジェクトは、いかに実現したのか。その全ぼうを関係者の言葉から紐解いていく。映画.com独占連載第3弾に登場するのは、脚本家の大江崇允だ。

2018年に連載が開始され、累計発行部数210万部を超える二宮正明氏による同名コミックを実写ドラマ化。都会から遠く離れた山間にある「供花村」を舞台に、ある事件をきっかけに供花村の駐在として左遷された阿川大悟(柳楽優弥)が、老婆の奇妙な死を境に、「人が喰われているらしい」と噂される村の異常性に飲みこまれていく。

画像2(C)2022 Disney

濱口竜介監督と共同で脚本を担当した「ドライブ・マイ・カー」で、第74回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞し、第94回アカデミー賞の脚色賞にノミネートされた大江。原作コミックを手に取り「めちゃくちゃ面白く感じた」と絶賛すると同時に、ドラマシリーズの脚本を執筆することには不安もあったといい、「途中から自分の未熟さしか見えなくなったほどです」と、原作の放つパワーに圧倒されたと振り返る。

「二宮正明さんの見せ方の面白さたるや、もう天才が作ったとしか思えないわけです。脚本上、どうやっても残せないところも出てきて、さてさてどうしたものかと。片山さん(片山慎三監督)やプロデューサーと顔をつき合わせ、『このエピソードをここにしたらいいんじゃないか』とか『このエピソードとこのエピソードを入れ替えてみようか』とか、みんなでパズルをやったという印象です」

画像3(C)2022 Disney

その上で「ガンニバル」の魅力は、「あまりにも壮大な普遍性を謳っている」点だという。小さな村で起きる事件がやがて、村に住む人間たちの闇をあぶり出し、想像を超える展開へと観客を誘っていく本作は「ある種の強い愛情が、結果的に戦争を生む物語」であり、「愛情は時として、いい方向に作用しないことがある。言い換えると“人の業”ですね。そういうことを描いているような気がしましたし、そこが僕にはとても魅力的に感じられました」と、表面的なスリラーに留まらない、作品の奥行きに舌を巻く。

さらに、不穏な空気に覆われたいまの世相とのリンクも指摘し、「いまの僕には『いまの時代、怖いな。冷静じゃないな』という感じがずっとあって、自分も含めて、みんな気持ちがいっぱいいっぱいじゃないですか。この『ガンニバル』にも冷静な人は出てきません。それぞれに愛するもの、守るべき大義みたいなものがあって、それが価値観の隔たりを生んでぶつかってしまう。答えのない問題なんです」と鋭く分析。「そういう意味で、ご覧になる視聴者の方にも、ザワッとなっていただければいいなと思うんです」と、期待を寄せる。

画像4(C)2022 Disney

そんな大江が意義ある作品づくりを目指す上で、重要な指針にしているのが「100年後の観客に残していいものかどうか」というポイントだ。「ある種の普遍性の獲得と言っていいのかもしれません。それができればいいなと考えながら、いつも創作をやっている感じです」と語り、本作をまさに、100年後に残すべき普遍性を追求し続けることで完成させる作品だと位置づける。

それだけに「ガンニバル」に込められたメッセージの普遍性は、世界配信に値する意味と価値がある。大江は「“世界”という尺度にはならないかもしれませんが、『ガンニバル』が息の長い作品になっていくといいなって思うんです。いま、この瞬間だけで消費されて、終わってしまわないような作品になってほしい」と願いを込め、「仮にいま、少ない視聴者しかつかめなかったとしても、それが100年経てば、積もり積もってとてつもない数になる。そうなれば、いま、この時代にだけ愛されて終わった作品よりも、優れた結果が残せるんじゃないか、勝てるんじゃないかって。そういうことはいつも考えていますね」と思いを吐露する。

画像5(C)2022 Disney

「100年後の観客に残していいものかどうか」という思いとともに、歪んだ正義感と価値観が争いを生む現代社会の縮図を、圧倒的なエンタテインメントに昇華させた「ガンニバル」がその先の未来まで、多くの観客の心に残ることは間違いないはずだ。

「ガンニバル」(全7話)は、初回2話がディズニープラスで配信中。毎週水曜午後5時に、最新話が更新される。

フォトギャラリー

大江崇允 の関連作を観る

Amazonで関連商品を見る

関連ニュース

映画.com注目特集をチェック

関連コンテンツをチェック

シネマ映画.comで今すぐ見る

aftersun アフターサン

aftersun アフターサン NEW

父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。

愛のぬくもり

愛のぬくもり NEW

「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。

HOW TO HAVE SEX

HOW TO HAVE SEX NEW

ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。

卍 リバース

卍 リバース NEW

文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。

痴人の愛 リバース

痴人の愛 リバース NEW

奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。

セルビアンフィルム 4Kリマスター完全版

セルビアンフィルム 4Kリマスター完全版 NEW

内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。

おすすめ情報

映画ニュースアクセスランキング

映画ニュースアクセスランキングをもっと見る

シネマ映画.comで今すぐ見る

他配信中作品を見る