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「ファミリア」在日ブラジル人ら“当事者”の演技に注目 成島出監督「彼らは未知数」

2022年12月19日 10:00

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オーディションで選ばれた在日ブラジル人らが出演
オーディションで選ばれた在日ブラジル人らが出演
(C)2022「ファミリア」製作委員会

役所広司が主演を務め、吉沢亮が共演する「ファミリア」が2023年1月6日から公開される。在日ブラジル人に真正面から光を当て、難民や差別といった問題も描かれる本作には、オーディションで選ばれた在日ブラジル人らが出演。物語にリアリティを与えている。

画像2(C)2022「ファミリア」製作委員会

成島出監督がメガホンをとった本作は、陶器職人の誠治(役所)、海外で活躍する誠治の息子・学(吉沢)、そして誠治が知り合う在日ブラジル人青年マルコス(サガエルカス)の関係を軸に、独自の視野から“家族”という普遍的なテーマに挑んだヒューマン・ドラマ。

画像3(C)2022「ファミリア」製作委員会

本作で俳優デビューを果たしたのは、誠治に助けられる在日ブラジル人のマルコス役のサガエルカス、その恋人エリカ役のワケドファジレ、学の妻役のアリまらい果、マルコスの友人・ルイ役のシマダアラン、マノエル役のスミダグスタボの5人。それぞれオーディションで抜てきされた、在日ブラジル人であり、特にルイ役のシマダアランは、静岡県で住民の半数が日系南米人という団地で育ち、外国人差別や偏見を受ける環境の中で過ごしてきた。

画像4(C)2022「ファミリア」製作委員会

ブラジル人移民が置かれている状況を当事者として、またはすぐ隣で実感しながら育った彼らが演じることについて、成島監督は「日本映画ではあまり前例がないが、当事者が演じれば、この難しい題材も生きるのではないかと思いました。脚本の根っこの部分に嘘がないとすれば、演出も嘘をつけない。演技の上手い下手ではなく、『日本人にもなれない、ブラジル人でもない、俺らって何なんだよ!』と叫べる子なら、マルコスを演じられるんじゃないか」と期待を寄せたという。

画像5(C)2022「ファミリア」製作委員会

サガエルカスは、脚本を読んだ印象を「今まで見てきた映画の中で、ここまで外国人にスポットライトを当てているものは本当に少ない。あったとしてもこの映画ほどではなく、本作はすごくリアルな話だと思いました」と話している。

撮影は外国人キャストのみのシーンからスタートし、時間をかけて丁寧に進められた。成島監督は「(演技経験の浅い出演者が多数出演した監督作)『ソロモンの偽証』もそうでしたが、演技経験のない彼らは未知数。真っ白なキャンパスに絵を描くみたいで楽しかったですね」と述懐。撮影後半には役所と吉沢が合流すると、慣れない現場で奮闘していたキャストたちは、役所や吉沢と休憩中に会話を交わし、次第にリラックスできたという。

画像6(C)2022「ファミリア」製作委員会

サガエルカスは「役所さんは日本の俳優の中でトップだし、吉沢さんは若手俳優の中でトップ。とても緊張しましたが、優しくて話しやすかったです」と振り返り、「次第に役所さんがお父さんのように見えてきました。『大丈夫だったか?』とか『ここはもっとこうしたほうが良いよ』とか、アドバイスもいただきました」と感謝。ワケドファジレは「絶対失敗してはいけない、『セリフがちゃんと頭に入っているかな?』とか心配していた」とプレッシャーを感じていたそうだが、「お2人共すごく優しかった。役所さんはブラジルに行ったことがあるそうで、ポルトガル語も少しお話してくれて、楽しく撮影できました」と撮影の思い出を噛みしめた。

無事クランクアップを迎えたサガエルカスは「ほっとした気持ちもありますが、(オーディションから)2年ほど携わっていたので、ここまで早く感じたと同時に、すごく寂しい感じもします」と率直な思いを吐露。成島監督は「彼らも役所さんの背中を見て、真剣についていくしかないので、順調に撮影は進んでいきました。ブラジル人移民が置かれている状況を当事者として、あるいはすぐ隣で実感しながら育った彼らの感覚は映画のどこかににじみ出ていると思います」と確かな手ごたえを見せている。

ファミリア」は2023年1月6日から公開。

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