孤独な老人×若者で始めたのは“高齢者売春クラブ” 外山文治監督「茶飲友達」予告編
2022年12月19日 18:00
高齢者売春クラブを舞台にした群像劇「茶飲友達」の予告編と場面写真が、このほどお披露目された。
2013年10月、高齢者売春クラブが警視庁に摘発された。クラブの会員は男性1000人、女性350人、最高齢は88歳。まさに超高齢化社会の日本が抱える、老人の孤独死、介護問題などの不安が反映された事件として、話題になった。「燦燦 さんさん」「ソワレ」が評判を呼んだ外山文治監督が、同事件をもとに、“擬似家族”と化した高齢者専用売春クラブを通して、現代社会に横たわる閉塞感や、高齢者と若者がともに抱える寂しさを描き出す。
マナ(岡本玲)は高齢者専門のコールガール「茶飲友達(ティー・フレンド)」を設立。新聞の三行広告に「茶飲友達、募集。」と掲載し、集まってきた男性の元へ高齢女性を派遣するビジネスを始める。「ティー・フレンド」に在籍する通称“ティー・ガール”たちの中には、介護生活に疲れた女性、ギャンブルに依存した女性などさまざまな事情を抱える者がいた。 一方、マナのもとで「茶飲友達」を運営する若者たちもまた、出口の見えない社会の中で閉塞感を抱えて生きている。 そんなままならぬ若者や高齢者を束ねるマナは、彼らを「ファミリー」と呼び、擬似家族のような絆を育んでいく。
予告編は、妻に先立たれた茂雄(渡辺哲)が新聞の三行広告に掲載された「茶飲友達、募集」の文字を見つける場面からスタート。その広告の実態は、高齢者専門の売春クラブ「茶飲友達(ティー・フレンド)」の斡旋の入り口。映像前半は“ティーガールズ”と呼ばれるコールガールに扮した高齢女性とクラブを運営する若者たちの仕事ぶり、売春クラブの代表・マナが仲間に「うちらはこの街のセーフティーネット」とうそぶき、万引きに手を染める孤独な松子(磯西真喜)に「“ファミリー”になってくれませんか」と勧誘するシーンなどが収められている。
そんなセンセーショナルな前半から一転、後半はマナがビジネスを始めた“本当の理由”が語られていく。最後は「『茶飲友達』それは、寂しさを埋め合う秘密の関係」というテロップで締めくくられ、現代社会に横たわる閉塞感や、高齢者・若者どちらにも共通する「寂しさ」が浮かび上がる内容となった。
「茶飲友達」は、23年2月4日に東京・渋谷のユーロスペースほか全国順次公開。
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