「ラーゲリより愛を込めて」あらすじ・キャスト一挙紹介 撮影裏話も
2022年12月17日 17:00
二宮和也主演の「ラーゲリより愛を込めて」が12月9日、全国で公開され、週末3日間で観客動員27万3000人、興行収入3億7400万円と順調な滑り出しを見せています。作家・辺見じゅんさんのノンフィクション「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」をもとに、瀬々敬久監督がメガホンをとった今作に出演するキャスト、あらすじ、撮影裏話などをご紹介します。
終戦後、極寒のシベリアの強制収容所に抑留された山本幡男(二宮)は、過酷な日々を過ごすなか、日本にいる妻モジミ(北川景子)と約束した帰国(ダモイ)を誰よりも強く信じ、多くの抑留者たちを激励し続ける。山本の仲間思いの行動と信念は、希望を見失いつつあった日本人たちの心を動かしていく……。
二宮さんと安田さんは、ロシア語が堪能な役どころだったため、撮影前からロシア語指導の先生に習うだけでなく、ロシア語のセリフが吹き込まれた音声を聞きこんだり、カタカナでルビをふって発音を覚えるなどして撮影に臨んだといいます。そして、ふたりにとってはソ連兵役のロシア人キャストの存在が大きかったそうです。
二宮さんは「『ここはもっとこうしたほうがいい』とか、『ちゃんと聞こえますよ』みたいなやりとりを何度もして確認しながら演じたので、ロシア語のシーンがあるときは結構なごやかな現場でした」と述懐。安田さんも、ロシア人将校から銃を突きつけられる緊迫したシーンに挑みましたが、カットがかかると将校役のロシア人俳優がにこやかにうなずいたといいます。その理由は、安田さんのロシア語が完璧で、言葉に感情が込められて感動したからだと明かしたそうです。
ラーゲリ内で飼われていたクロは、草野球で球拾いをしたり、収容者にとって癒しの存在として描かれています。映画の中のフィクションとして加えられたキャラクターかと思いきや、実話なのです。
クロは帰国する日本人たちを追って氷海に飛び込み、共に帰国しています。1956年12月24日にソ連・ナホトカ港で起こったエピソードとして、朝日新聞社に写真資料が残されているのです。
映画では、子犬時代を生後2カ月のクロスケ、成犬になってからをダイキチが演じていますが、2匹とも本作がスクリーンデビューとなりました。
コロナ禍ということもあり、海外ロケが容易ではなくなりました。今作は日本国内各所で撮影が行われましたが、ラーゲリのオープンセットは新潟県のある山間にあった約1万平米のスペースに建てられました。
選ばれた理由は、スベルドロフスクとハバロフスクのラーゲリは、シベリアに似た植生(白樺、カラマツなど)で、ある程度は雪が積もり、かつ都内から比較的アクセスしやすい場所だったからだと聞きます。
柵やバラック、門などは資料を探したほか、抑留経験者で現在は語り部になっている人に話を聞き、材質や形状を割り出していったそうです。一連の資料は、積み上げると3メートルほどになったとか……。セットに使用した白樺やダケカンバは、北海道や群馬などから約100トン近くの資材を取り寄せたそうです。
ラーゲリや、シベリア鉄道の建設地に咲くのは、アイスランドポピー、桔梗、コスモスなど。美術スタッフがシーンによって飾り替え、季節の移り変わりを表現するなど、細部に至るまでプロの仕事を垣間見ることができます。