【「ラーゲリより愛を込めて」評論】「戦争がもたらした後遺症」を描いた映画をいま、観客に届ける意義
2022年12月10日 10:00

「ラーゲリ」と「ダモイ」という単語の持つ大きな意味を、観客に問いかける映画である。「ラーゲリ」は収容所、「ダモイ」は帰国を意味するロシア語。第2次世界大戦後、極寒のシベリアのラーゲリに不当に抑留された実在の日本人捕虜たちが、文字通り命がけで繋いだ汚れなき“思い”が胸を打つ1作だ。
原作は、辺見じゅん氏のノンフィクション小説「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」。シベリアの強制収容所に抑留された主人公の山本幡男(二宮和也)は、僅かな食糧と劣悪な生活環境のなか多くの捕虜たちを激励し続ける。それは、日本にいる妻と約束した帰国(ダモイ)を誰よりも強く信じていたから。そして、周囲の捕虜たちにも大切な誰かが待っているはずだと信じていたから。
山本に扮した二宮の亡き祖父は、シベリア抑留経験があったと聞く。それだけに…なのか、だからこそ…なのか、用意されていた膨大な資料に目を通すことはなかった。知識だけ増やすことに、どれほどの意味があるのかと。そして、今作を戦争映画ではなく、「戦争がもたらした後遺症の話」と表現していることからも、瀬々敬久監督をはじめとする製作サイドが今作を作る意義を“心”で汲み取ったのだと言えよう。
それは、松坂桃李、中島健人ら共演陣も右に同じく、であろう。ロシアのウクライナ侵攻という現実を目の当たりにし、無力感を覚えることもあったはずだ。それでも、もう二度と戦争が引き起こす悲劇を繰り返さないように、そして「戦争がもたらす後遺症」に誰かが悩まされることも二度とないように。その思いを伝えたい一心で、日本を代表する映画人たちが過酷な撮影環境に身を置き、それぞれの役に寄り添うことに徹したことは特筆すべきではないだろうか。
関連ニュース






映画.com注目特集をチェック

アマチュア
【殺しはアマチュア、しかし頭脳は最高】スパイ史上最も地味、だが最も予測不能な男が面白すぎた!
提供:ディズニー

HERE 時を越えて
【何だこのすごい映画は!?】まるで動かない「バック・トゥ・ザ・フューチャー」 ラストの多幸感よ…
提供:キノフィルムズ

異常者×異常者×異常者…
【イカれた映画を紹介するぜ!】命令無視の異常者チームが無許可で大暴れ! ぶっ刺さる一作!
提供:KADOKAWA

片思い世界
【広瀬すず×杉咲花×清原果耶】涙腺崩壊、でも、あ~…何も言えない!! とにかく早く観て!!
提供:リトルモア

社畜が観たらすごかった映画
【前代未聞のオール社畜レビュー】「パラサイト」監督による描く至高エンタメ…果てしなく良かった!
提供:ワーナー・ブラザース映画

侍タイムスリッパー
【ついに見放題“最速”配信中!!!】観たかった人も、何度も観た人も今すぐ観よう!【超ネタバレ厳禁】
提供:JCOM株式会社

過激な問題作
【この村の住人は、人間を喰ってる――】狂いに狂った衝撃作。未見の人がうらやましい。
提供:ディズニー

映画館で観ないとぜっっったい後悔する
【ラスト5分の破壊力】そして“観たことないシーン”のゲリラ豪雨に、感動を超えてもはや放心状態――
提供:東和ピクチャーズ

映画が大好きな人へ――
“映画館でオトクに観る裏ワザ”、ご紹介させてください!【知らないと損な神情報】
提供:KDDI