3000人から抜てきされた天才子役 「エンドロールのつづき」主役のキャスティング秘話
2022年11月30日 08:00

世界各国の映画祭で喝さいを浴び、第95回アカデミー賞インド代表(国際長編映画賞)に決定した「エンドロールのつづき」。3000人の中から主役に選ばれたバビン・ラバリについて、パン・ナリン監督らが魅力を語った。
9歳のサマイはインドの田舎町で、学校に通いながら父のチャイ店を手伝っている。厳格な父は映画を低劣なものだと思っているが、信仰するカーリー女神の映画は特別と、家族で街に映画を観に行くことに。映画にすっかり魅了されたサマイは、再び映画館に忍び込むが、チケット代が払えずつまみ出されてしまう。それを見た映写技師のファザルは、料理上手なサマイの母が作る弁当と引換えに、映写室から映画を見せることを提案する。
(C)2022. CHHELLO SHOW LLPナリン監督は自らを「世界で一番の映画ファン!」というように、並々ならぬ情熱と知識、そして経験をもとに、本作の製作に向き合った。ナリン監督の幼少時代の体験をもとにした本作を撮るにあたり、監督自身とも言える主役を探すために「サマイとその仲間を演じる俳優は皆、私の故郷であるグジャラート州の片田舎の出身であることが絶対条件でした」と、インドの北西部にあるグジャラート出身ということを第一条件に掲げた。
その理由としては、映像と同じくらい音(サウンドデザイン)を大切にしているナリン監督が、グジャラート語での製作以外は考えられなかったこと、さらに、自然な表現を求めたからだった。「そのような子どもたちは、何もないだだっ広い大空の下で育つ感覚を知っているし、グジャラート州の方言も話せます。そして何より、派手ではない環境で何も所有せずに育つという、厳しい状況に慣れていなければなりません。そういう育ちだからこそ、ゼロから工夫して何かを作り出すことに対して、優れた感覚が身についているのです」と力説する。

劇中では、サマイとその仲間たちが映画上映の真似事をするために、廃材などを使用するシーンが描かれているが、物が溢れている日本では考えもつかない方法に観客は驚かされるだろう。実際に主演のサマイを演じたラバリは9歳で初めて映画を観て、本作がノミネートされるまでアカデミー賞も知らなかったという。何もない田舎で、嬉々として学び遊ぶ子どもたちの自然な姿は、確固たるバックグラウンドがあるからこそ。自然な表現を持っている子どもたちに対し、ナリン監督は「私はキャラクター作りとストーリーテリングに集中できたよ!」と満足げに語っている。
「ダージリン急行」「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」のキャスティングを手掛けていたキャスティング・ディレクターのディリープ・シャンカルは、主役に選んだラバリについて、「実は、一回目のオーディションに来ることができなかったので、候補には入っていなかった」と明かす。しかし、遅れて到着したラバリにいくつかのテストを受けてもらうと、「人生に対して独特で個性的。話し方や黙っている時の様子がピッタリだと思った」と語り、「稀に見る才能」と太鼓判を押している。
「エンドロールのつづき」は、2023年1月20日より新宿ピカデリー他で全国公開。
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