ドレスだけじゃない! 「ミセス・ハリス、パリへ行く」再現度が高いメゾン ディオールにも注目
2022年11月23日 16:00
ディオールのドレスに魅せられ、パリへと渡る家政婦を描く「ミセス・ハリス、パリへ行く」(公開中)。ディオールのゴージャスなドレスの数々に心躍る本作だが、きらめくパリの街並みや、ディオール社の協力の元、細部にまでこだわったメゾン ディオールも映画をさらに味わい深いものにしている。
本作の舞台は、1950年代のロンドン。夫を亡くした家政婦ミセス・ハリス(レスリー・マンビル)は、働き先でディオールのドレスに出合う。あまりの美しさに魅せられたハリスはドレスを手に入れるため、パリにあるディオールの本店を訪れる。威圧的なマネージャーのコルベール(イザベル・ユペール)から追い出されそうになるが、ハリスの夢をあきらめない姿勢は会計士のアンドレ(リュカ・ブラボー)やモデルのナターシャ(アルバ・バチスタ)、シャサーニュ侯爵(ランベール・ウィルソン)ら出会った人々を魅了していく。
20世紀半ばの栄光の絶頂期にあるメゾン ディオールに焦点を当てた長編映画は、本作が初めて。制作チームとディオール社は、メゾン ディオールの建物と細部にまでこだわった内装を本格的に再現することが最も重要であると考えた。
そこで、アカデミー賞受賞の美術デザイナーのルチャーナ・アリギにプロダクションデザインを依頼。アリジの最優先事項の一つは、1957年のメゾン ディオールの再現だった。ディオール社が、撮影のために今でもモンテーニュ通り30番地にある建物の設計図を提供したそうで、中央大階段、メインサロン、そして楽屋を実物大でブダペストに再現。また、セットの装飾に使われた家具とアクセサリーの一部は、ディオール社が提供している。
アリジは「本物のディオールのブティックがモデルだったの。本物に忠実にセットを作らなければならなかった。勝手なことをしたらダメなの。あまりにもよく知られている建物で、当時にそこを訪れたことのある厳しいパリジャンたちも、この映画を見ることがわかっていたから」と振り返る。
アンソニー・ファビアン監督とアリジは、ロンドンのアパートの地下にあるハリスの質素な部屋から彼女のさまざまなクライアントの住宅、パリにいる間に訪問する場所まで、主要セットのアイデアを展開させていく中で、常にロンドンとパリを別々の視覚世界として捉え、スクリーンで表現した。戦後のロンドンは灰色、緑色、茶色の地味な色合いを用いて少々不気味に描き、パリはクリーム色、黒色、ネイビーブルーを用いて、大胆かつ魅力的に表現している。
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