【インタビュー】すれ違う母娘を演じた戸田恵梨香&永野芽郁 互いになくてはならない存在となった撮影の日々
2022年11月22日 10:00
ベストセラー作家・湊かなえ氏が、「これが書けたら、作家を辞めてもいい。そう思いながら書いた小説」と明かすほど、思い入れの強さを見せた作品「母性」。そんな衝撃作を、廣木隆一監督が映画化した「母性」が、11月23日に公開される。すれ違う母娘を演じたのは、戸田恵梨香と永野芽郁。ドラマ「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」の先輩・後輩役でもおなじみだが、このドラマよりも前に撮影された本作で、初共演を果たした。
戸田は「自分を奮い立たせるために挑戦させて頂いた」、永野は「戸田さんが母じゃなかったら、撮影を乗り切れなかった」と振り返る。ともに難役に挑み、互いになくてはならない存在となった撮影の日々を語った。(取材・文/編集部、写真/間庭裕基)
まずは、「母性」「ハコヅメ」という2作品で共演した互いの印象について。
インタビューの冒頭から、顔を見合わせては、笑顔をこぼすふたり。撮影のなかで、互いに頼もしさを感じ、刺激を受けた場面はあったのだろうか。
本作は、語り手となる母娘の証言が次第に食い違い、衝撃的な結末へと向かう物語。戸田は、娘を愛せない母・ルミ子を演じたが、「理解し難く共感の難しい女性」だったという。出演を決意するまでには、かなり迷いがあったそう。
母に愛されたい娘・清佳に扮した永野は対照的に、ある理由で、出演を即決した。
手探りで挑んだ撮影を経て、完成した作品を見たときは、どのような感想を抱いたのだろうか。
鬼気迫る演技で、母の内なる狂気を表現した戸田。母への愛、母から愛されないことの苦しみで、引き裂かれそうな娘を体現した永野。現場に入ってから「役を理解できた」と思った瞬間や手応えはあったのだろうか。
物語を解き明かすカギは、「母と娘のすれ違う視点」。同じ出来事を回想しているはずなのに、母は「娘を抱きしめた」、娘は「母に首を絞められた」と証言する。ふたつの視点が交錯する、複雑な構造を追っていると、“真実”とは、それぞれの感情や思い込みで歪む不確かなもので、「人の数だけ真実が生まれる」ということを、改めて認識させられる。そんな人間の業や本質が、戸田と永野の巧みな演じ分けによって、観客に生々しく焼きつけられていく。
人間関係においては、非常に近しい親子という関係であっても、伝え方や受け取り方によって、誤解が生じるもの。ふたりがコミュニケーションのなかで気をつけていることを聞いてみた。
原作者の湊氏は、「女性は子どもを産めば、必ずしも母性が芽生えるわけではない」と語っている。その言葉通り、「娘であり続けたいまま母となり、娘にうまく愛を注ぐことができない」というルミ子の人物像は、ある人にとっては信じがたいものかもしれないが、ある人にとっては共感を抱くものかもしれない。最後に、本作を通して考えた“母性”や“親子”について、語ってもらった。
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