第16回田辺・弁慶映画祭、大西諒監督「はこぶね」が弁慶グランプリほか3冠 映画.com賞は堀内友貴監督「明ける夜に」が受賞
2022年11月14日 21:00
第16回田辺・弁慶映画祭が11月11日から13日まで和歌山県田辺市紀南文化会館で開催され、最終日にコンペティション部門の各賞が発表された。今年は過去最高となる180本の応募があり、厳選された入選7作品の中から大西諒監督「はこぶね」が弁慶グランプリと観客賞、フィルムネーション賞の3冠を獲得。堀内友貴監督「明ける夜に」が映画.com賞とキネマイスター賞を受賞した。
大西監督の「はこぶね」は、漁協の合併を控えた港町を舞台に、視力を失った男と町に戻ってきたかつての同級生が再会し、窮屈だが、美しい町の景色にそれぞれの記憶と想像を重ねていく様を描いた人間ドラマ。2019年から映画美学校で映画制作を学びはじめた大西監督の初長編(99分)となる。視力を失った主人公を演じた木村知貴の演技に対してスペシャルメンションが授与された。
映画.com賞とキネマイスター賞を受賞した堀内監督「明ける夜に」は、海に近い町を舞台に、8月31日から9月1日にかけて、夏の終わりを目前にした若者たちを描いた群像劇。海までのひと晩を共にする就活生の男女を五十嵐諒と花純あやのが演じたほか、としお理歩、奈良原大泰、佐野日菜汰、志真うた、在原貴生、七瀬てつ、巴山祐樹、松本高士らが出演。冒頭からオフビートな会話とテンポで笑わせながら、夜が明けていく光の変化の中で時にホロリとさせる独特な世界観の作品となっている。
俳優賞は、「四人姉妹」の監督も手掛けた菊池真琴と、田中さくら監督「夢見るペトロ」に主演した前田紗葉。「夢見るペトロ」には審査員特別賞も授与された。今年は、「るろうに剣心」シリーズなどの大友啓史監督、「PLAN75」でも高い評価を得た俳優・磯村勇斗がコンペ部門の特別審査員として参加し、例年以上の盛り上がりを見せた。なお、受賞作品は副賞としてテアトル新宿、シネ・リーブル梅田の2カ所で来年上映される予定。