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「スペンサー」ラストに明らかになるダイアナの“アイデンティティ” 監督が明かす、タイトルに込めた思い

2022年10月21日 13:00

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映画は公開中
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(C)2021 KOMPLIZEN SPENCER GmbH & SPENCER PRODUCTIONS LIMITED

クリステン・スチュワートがダイアナ元皇太子妃を演じた「スペンサー ダイアナの決意」。先週より公開を迎え、SNSなどでは「ラストに胸打たれる」「余韻がすごい」「映画を見た後味が今年一番」など、ラストシーンを賞賛する声が多くあがっている。

タイトルである「スペンサー」とは、ダイアナの旧姓。死後25年が経過しても、“ダイアナ妃”の愛称で親しまれている彼女でも、本名を知っているという人は多くはない。それはチャールズと離婚し王族の一員ではなくなったあとも、”プリンセス・オブ・ウェールズ”の称号は与えられたままで、メディアでもラストネームで報じられることが少なかったことが要因でもある。

本作では、「スペンサー」という言葉を、物語の最後にスチュワート扮するダイアナが、ある意外な場所で口にする。力むことなく自然に発せられるその名に、爽快感のあるエンディングを迎えることとなるが、それだけでは終わらない複雑な後味も。ダイアナの人生のその後を知る観客は、希望と切なさが入り混じる何とも言えない感動を得るのだ。

映画を見た著名人の中にも、この不思議な後味を魅力として挙げる方も多く、ゲームクリエイターの小島秀夫氏は「ラストで王室を飛び出した彼女の結末を知る観衆は何を思い、何を熾(おこ)すのか」と問いかけ、漫才師のハイヒール・モモコも「爆発するのがわかるラストに涙がすーと流れた」とラストの衝撃を言葉にしている。

パブロ・ラライン監督は、本作の成り立ちとタイトルのアイデアを聞かれて「英国王室について、私には以前から常々疑問に思っていたことがありました。それは、彼らのラストネームは何だろう?という素朴なものでした。全員がウィンザー家の一員で“●●●・オブ・ウェールズ”という称号を持っていますが、本当の名前はなんなんだろうと不思議だったのです。同じようにダイアナについても、プリンセスという肩書きがあったけれど、それでは彼女の名前はどこにいっちゃったの?という疑問から、シンプルにタイトルを決めました」と、スペンサーの名が物語において重要なアイデンティティとなるという物語のヒントを明かしている。

映画では、ダイアナの生家であるスペンサー家の邸宅も登場する。ロイヤルファミリーが毎年クリスマス時期を過ごすサンドリンガム・ハウスからほど近くに、ダイアナが生まれた家、通称パークハウスが位置しており、ダイアナは懐かしの我が家へ帰りたい気持ちでいっぱいになるが、王室の従者たちは彼女の行動を逐一監視し、マスコミも遠くからシャッターチャンスを狙っているため、窮屈さからさらに心を病んでしまうという、悲しい描き方がされている。

感情が揺さぶられる本作のラストシーンをハッピーエンドと考えるか、はたまた悲しいバッドエンドと捉えるか。深い余韻を残す本作を、劇場で確認してもらいたい。

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