「第2回サステナブル未来映画祭」配信9作品の見どころポイント(1)
2022年10月5日 17:00
「第2回サステナブル未来映画祭」が9月22日から10月10日までの19日間、オンライン配信プラットフォーム「シネマ映画.com」で開催されている。配信9作品をピックアップし、映画.comの駒井尚文編集長に加え、編集部&スタッフがそれぞれの視点から配信作品の見どころやポイントなどを紹介する。(全3回)
「サステナブル未来映画祭」は、“「映画」を通して、世界を知る。そして未来を想い、行動するとき。”と掲げ、持続可能な地球環境と子どもたちの豊かな未来のために、環境問題や社会課題をテーマにした新たな映画祭。第1回が今年1月28日から2月10日まで開催され、大きな反響を呼び、好評を得ました。
第2回は、オスカー3部門ノミネートの快挙を成し遂げた「FLEE フリー」をはじめ、本映画祭先行独占配信のドキュメンタリー「ベルベット・クイーン ユキヒョウを探して」ほか、日本における難民申請の課題や、途上国を舞台に成長し続ける貧困産業、ファッション産業やシーフード産業が抱える問題などをテーマにした作品を配信中。
▼駒井編集長
最近、ドキュメンタリー作品にアニメ描写を組み込むという手法が増えています。理由としては、まず「描きたい出来事についての映像が残っていないから」「当事者が故人である」など、再現性の問題が上げられます。例えばあなたの家系に「その昔、曾祖父が素手で虎と戦って倒した」などという逸話があったとします。あなたがその出来事に半信半疑であれ、それはアニメで映像化可能です。そしてもう一つ、「主人公の身バレを防ぐため」という理由もあります。本作のように、タリバンから追われている主人公について描きたい。しかし、その住処や身体的な特徴が判明してしまえば、身辺に危険が及ぶ可能性がある。こうした場合、主人公をアニメで創作し、声優をあてることによって危険度は格段に下がるでしょう。そういう作り方をした本作は、今年度のアカデミー賞でドキュメンタリー部門と長編アニメ部門にノミネートされました。さらに、国際長編映画賞にも。ジャンルの垣根を越えた映画製作の手法に注目してご覧になってください。
▼岡田寛司(編集部)
難民申請の不認定→在留資格の喪失。この事態によって、一体何が起きるのか。本作では、主人公・サーリャの日常を通じて、その実態を知ることができるでしょう。遊ぶ、学ぶ、恋をする、そして、未来を思い描く。これら全てが、たったひとつの出来事を契機に、根底から覆されていくのです。私たちが当たり前のように享受している普遍的な日常を、改めて見つめ直すきっかけにもなるはず。サーリャは、決して遠い国の人物ではありません。映画は娯楽の一種でもありますが、「現実を知る手段」にもなり得ます。「クルド人少女の青春物語」としても、非常に素晴らしい出来栄えではありますが、さらに、あなたが見ている“世界”を拡張させる可能性を秘めた作品となっています。2022年、この作品を見逃してはいけない――そう強く感じた1本です。
▼松村果奈(編集部)
善意の寄付が、途上国の経済活動を破壊していた――。そんなショッキングな事実を伝え、“途上国を救う”という大義名分で、開発を請け負う欧米の慈善団体や大企業がかつての植民地政策のように、現地の労働者から利益を搾取するようなシステムを構築していたことを明らかにするドキュメントです。セレブのチャリティも、例えばアフリカ諸国には実際は豊かな資源や労働力があるもののいつまでも貧しく飢饉にあえいでいるという印象を大衆に与え、自国で“余った”ものを押し付けることになっています。善意が余計なおせっかいとなり、施しを受ける側の自立を妨げることになるということを知り、何かアクションを起こすとき、その善意は自己満足ではないか?と立ち止まって考えることを促す映画です。
続きは10月6日配信予定。なお、シネマ映画.comは作品ごとにチケットの購入が可能で、PCやスマートフォンで鑑賞できる。作品を視聴するには「シネマ映画.com」の会員登録が必要。
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