ウクライナ発のアニメ映画「THE STOLEN PRINCESS」 全国規模での公開を目指しクラウドファンディング開始
2022年9月30日 08:00
東欧を代表するアニメーションスタジオ「Animagrad」によって制作された、ウクライナ発のアニメーション映画「THE STOLEN PRINCESS(英題)」の全国規模での公開を目指し、クラウドファンディング(https://motion-gallery.net/projects/Ukraine_anime)がスタートした。
本作は、騎士に憧れる売れない俳優ルスランと、王女であるが故に自由を奪われているミラの2人が、お互いの素性を知らぬまま出会い身分違いの恋に落ちるところから始まる。やがて、かつて正義の魔法使いフィンを打ち破った悪の魔法使いチェルノモールが、ミラを連れ去り、ミラの愛の力を自分の魔力に変えてしまう。ルスランは、愛するミラを助け出すために、魔法の国へ旅立つ。
配給を務めるのは「Elles Films」。代表取締役の粉川なつみ氏は、本作を上映するために配給会社「Elles Films」を設立。その理由について、以下のように明かしている。
「ロシアによるウクライナ侵攻を報道で目にするたび、もっと手を差し伸べられないか。私だからこそできる支援はないか――。日本で日々平和に暮らす自分へのもどかしさの中で、その思いはますます強くなっていきました。そんな時に出会ったのが本作です。以前と比べ、戦況がニュースに取り上げられなくなってきた今日、日本人の記憶から風化していくのを止めるためにも絶対にこの映画を日本で配給しなければならないと思いました。なぜなら、少しでも多くの方に本作を観ていただくことが、映画業界で働いてきた私だからこそできる、ウクライナへの貢献になると考えていたからです。日本語吹替版を制作することで、この映画を通してウクライナ侵攻の現状を大人だけでなく子供たちにも知ってもらうきっかけに、また世界中で起こっている紛争問題にも目を向ける機会になってもらえたらと考えております。日本で初めてとなるウクライナアニメーション映画の劇場公開に向けて、未知の領域への挑戦となりますが、ウクライナやウクライナの映画業界への貢献となるよう奮闘しますので、ぜひお力添えください」
より多くの人々に作品を届けたいという想いから、日本語吹き替え版の制作も決定している。クラウドファンディングでは「日本語吹替版にかかる制作費用」「全国規模での公開を目指すための宣伝費の支援」などを希望しており、目標金額は1700万円に設定。リターンには、グッズや宣伝会議への参加、クラウドファンディング参加者限定の試写会の開催、日本語吹替体験などを実施。さらに、収益は、本作の制作スタジオである「Animagrad」に分配し、ウクライナ政府とInternational Coalition for Filmmakers at Riskへ5%ずつ渡すことになる。
プロジェクト始動に際して、監督のオレ・マラムシュのメッセージ付きの予告編も公開。マラムシュ監督は、動画冒頭で「(本作の)日本公開が決定して本当に嬉しいです」と喜びの気持ちをコメント。続いて、現在のウクライナの状況について「大変な局面を迎えている」と言い表し、「(スタッフたちは)避難して世界各地で働いている」と明かした。また、かねてより日本のアニメのファンとのことで、「日本のアニメーションを愛し、15年間研究しています。本作でもその要素を取り入れています」告白。より多くの日本の観客へ本作が届くようクラウドファンディングへの協力を呼びかけ「ウクライナから愛を込めて」とメッセージを締めくくっている。
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