「LAMB ラム」監督インタビュー 驚愕の“羊の物語”に「今の時代の新しい神話を作ろうとしていたのかも」
2022年9月23日 10:00
アイスランドの人里離れた田舎で暮らす羊飼いの夫婦が、羊から産まれた“羊ではない何か”を育てていく……という奇妙な物語で、第74回カンヌ国際映画祭のある視点部門「Prize of Originality」を受賞、アカデミー賞国際長編部門アイスランド代表作品にも選出されるなど、批評家からも高い評価を受ける。公開前から話題沸騰の本作は、「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」などの特殊効果を担当したバルディミール・ヨハンソンの長編監督デビュー作。作家・詩人であり「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の歌劇脚本を手掛けるショーンと共同で脚本を執筆したヨハンソン監督にオンラインで話を聞いた。
タル・ベーラが設立したサラエボの映画学校で学びました。ほかの生徒は短編などを作っていたようですが、私はこの企画だけをずっと開発していました。そこで彼がアドバイスをくれ、エグゼクティブプロデューサーとしてクレジットされることも承諾してくれたので、製作費が集めやすくなったのです。タル・ベーラが実際に完成作を見たのはカンヌで上映される数日前。とても気に入ってくれて、感想は笑顔で「ハッピーだった」と。とても正直で、好きじゃなかったらはっきりおっしゃる方なので、「ハッピー」は最大の褒め言葉だと思っています。
ショーンと二人で生み出した物語とエンディングです。私たちはいろんな映像や画像を集めて、たとえば私の好きな絵画があったとしたら、それをきっかけにあるシーンを書いてみる、そんなことをたくさん試みました。今回はビジュアルで語る映画にしたかったので、さまざまな資料を参考にしました。アイスランドで羊にまつわる神話のようなものはありませんが、もしかしたら、私たちはある意味で今の時代の新しい神話を作ろうとしていたのかもしれません。
いろんな素敵な言葉をいただきましたが、意外だったのが「お肉を食べるのをやめました」と言う方が少なくとも10人はいたことですね。
食用です。生まれてから山に放牧し、3カ月育ててから屠殺されます。アイスランドで一番ポピュラーな食用の肉は羊です。歴史上、人間の数よりも羊の数の方が多かった時期もありました。アイスランドでは羊のおかげで人間が生きてこられたとも言われます。防寒具のための毛糸も取れますから。私たちアイスランド人は羊のすべての部位の恩恵に預かっています。
アダは、まず人形を使って撮影する、2番目に子役を使って撮影する、3番目に羊を使って撮影するという段階がありました。もちろんVFX担当者は何をしなければいけないのかを把握してはいましたが、ものすごく時間がかかりました。
アダのデザイン、コンセプトは有機的に生まれてきたものです。この企画を思いついた当初からたくさんのドローイング、ムードブックを作りました。参考になりそうなものの絵や自分のドローイングなど、様々なものを合わせていくことで、少しずつ全体像が見えてくるという作業でした。そこからカメラをどう頼るかテストをしつつ、最終的なあの造形になりました。そして素晴らしいスタッフがいてくれたおかげでもあります。
アイスランドでアダという名前の方はほとんどおらず私は1人しか知りません。意味もあるそうですが、私は覚えていません。ここのキャラクターには“アダ”だと直感的に名付けました。
役者に関してはラッキーだったと思っています。全員ファーストチョイスの方々で、しかも初めての長編作品でみなさんが多くの力を貸してくださいました。でもリハーサルにはほとんど時間が取れず、ノオミに至っては撮影開始前日に現場入りし、最初に撮影したのが羊の出産シーンだったのです。スタッフも素晴らしい方々に恵まれ、本当にいい形で映画を作ることができました。
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若松孝二監督が代表を務めた若松プロダクションの黎明期を描いた映画「止められるか、俺たちを」の続編で、若松監督が名古屋に作ったミニシアター「シネマスコーレ」を舞台に描いた青春群像劇。 熱くなることがカッコ悪いと思われるようになった1980年代。ビデオの普及によって人々の映画館離れが進む中、若松孝二はそんな時代に逆行するように名古屋にミニシアター「シネマスコーレ」を立ち上げる。支配人に抜てきされたのは、結婚を機に東京の文芸坐を辞めて地元名古屋でビデオカメラのセールスマンをしていた木全純治で、木全は若松に振り回されながらも持ち前の明るさで経済的危機を乗り越えていく。そんなシネマスコーレには、金本法子、井上淳一ら映画に人生をジャックされた若者たちが吸い寄せられてくる。 前作に続いて井浦新が若松孝二を演じ、木全役を東出昌大、金本役を芋生悠、井上役を杉田雷麟が務める。前作で脚本を担当した井上淳一が監督・脚本を手がけ、自身の経験をもとに撮りあげた。
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