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「百花」川村元気監督&原田美枝子、喝采に感涙 スペインの観客、上映後の劇場で見送り

2022年9月21日 10:51

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大勢の観客に見送られる川村元気監督と原田美枝子
大勢の観客に見送られる川村元気監督と原田美枝子

川村元気氏が初めて長編映画を監督した「百花」が9月20日(現地時間)、スペインで開催されている第70回サン・セバスティアン国際映画祭のオフィシャル・コンペティション部門で公式上映された。現地入りした川村監督、主演の原田美枝子に対し、場内を埋め尽くした観客は大喝采。感極まった原田が涙を流すひと幕も見られた。

9月16~24日に開催されるサン・セバスティアン国際映画祭は、ヨーロッパではカンヌ、ベルリン、ベネチアという世界3大国際映画祭に次いで、重要な映画祭として位置づけられている。前回開催時には、世界中の映画賞を席巻した「ドライブ・マイ・カー」が正式出品されたことでも知られている。

川村監督と原田は同日、会場となるクルサール・コングレスセンターで行われた会見に出席。質疑応答には多くの海外メディアからの質問が途切れることなく続き、中には原田が出演した黒澤明監督作品に関するものも含まれた。

川村監督は「原田美枝子という女優は、黒澤明監督の作品に出演していたり、今の日本の映画界にとって伝説の人。以前から自分が映画を撮る時は、日本映画を背負っているような女優に出ていただきたいという思いを持っていました」と明かす。一方の原田は、「黒澤監督との仕事は緊張しましたが、時間が経っても昨日のことのように全部を思い出せます。川村監督との撮影も1シーン1カットで非常にエネルギーを使いましたが、監督の目指しているものが分かり、信頼して身を預けることができました」と微笑んだ。

イゲルド山を訪れた2人
イゲルド山を訪れた2人

公式上映は午後10時からだったが、映画祭最大級のキャパシティといわれる同センターには約1800席を多くの観客が埋め尽くした。「百花」のイメージカラーでもある黄色の着物に身を包んだ原田とスーツ姿の川村監督も出席した公式上映では、本編終了前のエンドロールに入ると次々と観客が立ち上がり、場内からは拍手喝采がおくられた。その後も続く拍手に、感極まった原田の目からは涙がこぼれ落ちた。

多くの観客はその後も劇場ロビーに残り、退場する2人を見送った。ここでも惜しみない拍手と歓声がおくられ、涙を流しながら声をかけるファンの姿も。その光景に感動を隠し切れない様子の2人は、目に涙を浮かべながら深々と頭を下げて会場を後にした。

上映後の川村監督と原田のコメント全文、および観客の感想コメントは以下の通り。


川村元気
遅い時間からの上映にもかかわらず、これだけの満員上映で、こんなに大勢の方に見送りまでしていただいて、感動しました。
観客の表情から、映画が伝わったことが凄く分かりました。
サン・セバスティアンという町には映画を愛している方々がたくさんいて、映画人であるということだけで温かく迎えてくれ、すごく嬉しかったです。
原田美枝子
まさか泣くと思わなかったです(笑)。
皆さんがちゃんと受け止めてくれた気がして、本当に嬉しかったです。
映画をきちんと観てくれる人たちがいるっていうことが分かり、楽しく過ごせた映画祭でした。

【観客の感想】
■チリの女性
美しく感動的な作品で、涙が出ました。原田美枝子さんの演技は本当に素晴らしかったです。物語の始まりと終わりで全く違う姿を見せているのが圧巻でした。
■スペインの女性(イギリス在住)
作品を鑑賞して泣きました。特に最後のシーンが本当に美しかったです。世界の観客は、この作品を観て日本の古典映画を思い出すのではないでしょうか。小津安二郎監督と比べるわけではないですが、彼らが家族や関係性について描いてきたことの系譜を感じさせると思いました。
■フランスの男性
作品を拝見し、とても味わい深くて、本当に素晴らしかったです。私はこの映画が大好きになりました。ありがとう。本当にありがとう。
■スペインの女性
美しい物語、とても詩的な作品で素晴らしかったです。最後には泣いてしまいました。とても重要な、私たちが知るべきトピックを扱っていると思います。私は作曲家なのですが、音楽が素晴らしかったです。

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